音ゲー仙人

「おい、あれ見てみろよ」


「うおっと! なんだあれ!? 人だかりもすげえな!」


「そういえばネットで見たことあるぞ。音ゲー仙人の噂を」


「俺も見たぞそれ。あれが音ゲー仙人か……」


「どっからどう見ても仙人だよな」


「長い白髪。顔を覆い隠す髭。推定年齢70才。装束。背中にしょわれたほら貝。あれで仙人じゃなかったら、この世のほうが間違ってる」


「それにしてもすごいな。なんかカンフーの達人みたいな動きだぞ」


「音ゲーは武術に通じるものがあるのかもな。まぁやってる人には求道的な人もいるし」


「……終わったよ。なんかすげえよ。ギャラリーから拍手とかどこのアーティストだよ」


「すげえもの見たな」


「ん? 仙人がなんか紙を配ってるぞ」


「もらってこよう」


「いってら」


「もらってきた。何々……? 弟子募集」


「いや、待て。弟子の上にルビがふってある。なになに。スポンサー……?」


「なるほどスポンサー」


「働き方改革の影響がこんなところにも」


「俺たちも仙人目指すか?」


「やめとこう」


「そうだな」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る