秘密の花園

「ごーゆでんうぃーく!」


「ん?……あぁ、連休だな」


5月3日(祝)。


今日も今日とて、龍神池でコモモに捕まる俺。


「あそぶぅー!」


……お、俺だって、毎日ダラダラしてる訳じゃ無いんだから、祝日位、休んでたい……。


しかも、アジトに帰れば、モモにも同じ要求をされるのが目に見えている。


はぁ。




~ 5月4日(祝) ~



「コモモー」


「わぁい!」


いつもの庭の東で、コモモは、待ち構えていたかの様に飛び付いて来た。


「はいはい。何して遊ぶんだ?」


「こっちこっち」


「?」


コモモが、小さな手で手招きする。



「えいっ」


『ガサガサッ』


植え込みの、狭い穴を器用に通るコモモ。


子供一人通れる位の大きさだ。


行けるかな……?


俺は、葉っぱ塗れになって、コモモを追い掛けた。



緑のトンネルを抜けると――。


「……!」


「えへ……」


赤、白、黄色、オレンジ、それから、桃色の……薔薇。


そこには、美しいローズガーデンが広がっていた。



「ここは……?」


「コモモが作ったの」


「コモモが?」


「レナに習った、まほうで出したの」


「魔法で、か」


「まだ、家のだれも知らないわ」



「きれいでしょー?」


「あぁ……」


薔薇の甘い香りがする。


「そこのテラスにすわる」


「ん」


ふぅ。


落ち着くな。


……忙しい日々にかまけて、こんなゆとり、忘れていたな。


ぽふぽふと頭を撫でてやると、コモモは、頬を桃色に染めて、はにかんだ。



「ね~ぇ?」


「ん?」


「ここは、クーヤお兄ちゃんと、コモモだけのひみつよ」


「分かった。誰にも言わないよ」


「ゆびきり」


「あいあい。指切りげんまん、嘘吐いたら……ローズティー飲ませろよ?」


「あははっ」



空の上で、水色に桃色が混ざり始める。


時が経つのを忘れていた。


「じゃあ、今日はそろそろ帰るな」


「あしたはぁ?」


「う~ん、明日はちょっと……」


「ぶぶぅーっ」


「又、来るよ」


頬を撫でてやった。


「うー、うー」


コモモは、くすぐったそうに目を瞑る。


「じゃあな」


「うー、ばいばいー」




―― スマイル団アジト ――



「帰ったぞ、モモ」



「ゴールデンウィ――ク!」

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