我の孤独と 第一部 第三章

 ようにして豪放らいらくなる幼少期のおれもはつこいというものを体験したがあけれどものお『よいこのいえ』はかくりようたる長岡市内でも唯一無二精神身体知的しようがいを享受していた幼児小学らったけんのおばくなる長岡市内全域から秋霜烈日のしようがいふくそうしていたがあて。

 わかのおれはくだんのはつこいの男児とらいえいごうあいあいと成長してゆくような観念があいまいとしてのうにあったがあけれどものお『よいこのいえ』を卒業するとおれは川西尋常小学校にはつこいの男児は――きようこうそくぶんしたところによると――神田尋常小学校に進学してしまったがあの。

 おれはのちの住職様にねがいしてべそかいたのお。

「あの子と一緒がいい」ってのお。

 結句川西尋常小学校に進学したおれはしつかいくだんのはつこいの男児が忘却できなくて「あの子とあそびたい」と蹈たたらを踏んでのお尋常小学校じゃあめいちようたるおともだちはひとりもできんかったがあよ。

 多動性のしようがいもあったおれらっけんのおはんぶんじよくれいの授業中もろうぜきをはたらいたりやんちゃな子供だったようらのお。

 ディスカリキュリアというびようかんしていたっけん『読み書きそろばん』の『そろばん』はちんぷんかんぷんらったけれどもそうごう的なる成績はぴかいちだったおれらっけえのお『まんぷく』様のひいもあって尋常小学校を卒業すると当時の女学生ではどんはなであった七年生の尋常中学校に進学できたがあの。

 中越尋常中学というところでほうはいたる戦前戦後の激動期に閉校になったいまじゃあだれもおぼえてねえ学校らけんどもしゆんぷうたいとうたる校風でおれの霊肉もかんようされていったがあよ。

 尋常中学校に進学するとなことがおこってのおおれとおなじ出身おれとおなじ生年月日おれとおなじしようがいをもってふうぼうの女学生とほうばいになったがあな。

 唯一くだんの女学生は『名前』が相違してように尋問してきたがあよ。


「あんたじゃねえのか。おれはらよ」と。


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