戦力外通達(えっっっっっな意味で)
「それでは、ここまで来たからにはワタシ達でやるしかなさそうですわね!」
「そうね、天界と魔界の最高戦力があれば負けることなんてないんだもの」
「う、うむ、小生も陰ながら応援するでござる」
「にゃー」
「じゃ、我帰るね」
「「「えッ!?」」」
「え?」
いや、そんな驚かなくともよくない?
なんとなく黒幕の居場所は把握できたし、後は我がいなくてもなんとかなるだろ。というか、魔力も尽きたし、こんなセンシティブこの上ないスケスケひらひらワンピースでは派手に動けぬし、自慢のコレクションもなぜか猫ちゃんになった。これ、むしろ我がいない方が上手くいくまである。
はからずも、ステラとアンフェルティア、そして、サクリエルとかいう最強の布陣での共闘となってしまった。もしかしたら猫ちゃんになってしまったブラハエルも、何かのタイミングで覚醒して戦力になり得る可能性もある。そんな中、完全に戦力外でしかない我の場違い感が凄まじいのだが、帰っていいかな?
「何言ってるの、ダメに決まってるでしょ。アンタもちゃんと戦力に加えてあげるからしっかり働きなさいよ」
「今の我にできるのは猫になったブラハエルを振り回すことくらいだ」
「お父様、動物虐待はいけませんわ」「にゃん」
「*専門家指導の元、猫の安心安全に十分配慮して振り回すから問題ない」
「ヘラ氏が帰るのなら小生も帰りたいでござるぅ~……すぅ~、……はい、すいません、気のせいですぅ……」
なんかわからぬが、全員の突き刺さるような視線に耐えられずに勝手に撃沈したサクリエルは放っておいて。
いや、そういえば、こやつは堕天使とはいえ仮にも元は光のマナによって造られた天使なのだから、天界でも何かしらできるもんじゃないのか? 本当に何もできないのか? そのうち、究極覚醒してレベル上限突破、超最強の新スキル獲得で光の魔法もバンバン使えるようにならないのか?
「そんなこと言ってもさ、我ひとりだけ、何もできないただの美少女なんですけど」
「美少女というより、今はただの痴女だけどね」
「貴様はいつか同じ目に遭わせてやるからな!」
油断してまた我の慎ましやかなお胸を大公開してしまった。謎の光の線、こういう時に活躍してくれよ! 涙目で全然発動してくれない謎の光の線を恨みながら、またうずくまって隠すけど、何なのだ、これは!
しかし、美少女というのはいかなる時でも好奇の視線にさらされて油断も隙もあったものではないのだな、大変なのだな、とつい感慨深く思ってしまうが、いや、こんな女子ばっかりいるのに(むしろ唯一男の)我だけが恥ずかしがっているのっておかしくない!?
というか、いつまでこの格好でいればいいの!? ギャグだったら次のページではもう何事もなかったように服とか復活してるじゃん! そこだけ律儀に異世界ファンタジーしやがって!
「ちなみに、そのワンピース、ボクが近くにいないと地上じゃ霧散して消えるからね」
「どんなえっっっっっっなシチュエーションだよ!」
そういうのって、水で溶ける水着みたいな、特殊なエロ同人でしか見たことない未知の素材じゃねーの!?
「神聖なる天界で何を卑猥なものを作っておるのだ、貴様は!」
「だから、それをアンタが言うなって」
これではほとんど人質、いや、魔質ではないか。魔界の者らの(ずいぶんと偏った)性癖の粋を凝縮した超絶美少女である我が、よりにもよって素っ裸で魔界に放り出されては、完全に薄い本されてしまうではないか。
「く、くう、貴様なぞに屈辱を与えられて性奴隷となるくらいなら、潔く死んだほうがマシだ! くっ、殺せ!」
「お父様のくっころ、じゅるり、見たい気もしますわね」
「ステラッ!?」
「おい、というか、このボクを小汚い山賊みたいに言わないで」
しかしながら、我の弱みを完全に握られてしまったせいで、女神のそばを離れられなくなってしまった。これでは完全にこやつの性奴隷ではないか。「人聞きの悪いこと言わないで」「どの口が言う?」
我の高貴な心までは辱められぬ。ヤれるもんならヤればいい。そういう不撓不屈な覚悟を決めつつ、さっさと帰りたいので話を進めることにする。いつまでも、我のえっろいワンピースと女神の歪んだ性癖に構っている場合ではない。
めちゃくちゃ不本意ではあるが、むむむ、仕方ない。我の尊厳とこれ以上のお肌の露出を避けるためにも、ステラとアンフェルティアに付いて行かぬことはできぬだろう。ついでにサクリエルとブラハエルもおるのだ、まあ、いざとなればなんとかしてくれるだろう。
「ブラハエルの暴走、天魔異會の台頭、そして、もしかしたら、創造神、ウルの企み。もしかしたら、案外謎は簡単に解けるかもしれぬな」
にやり、やるべきことはすでに決まっている。さっきから寄り道とどーでもいい雑談で話がグダっているだけだ。
「ひとまず、その創造神、ウル、とやらに会ってみようぞ」
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