一般人ですけどコスプレしてバイト感覚で魔法少女やってます!☆ノッラ・マーキネン・テュット☆~なんの力もない私が魔法少女を任されたて~
【ヤクソ・コルメクュンメンタウュクスィ-要するに第三十一話-】恐るべき?大総督☆彡【ヴィースィ・ヴェーリ・ルク-五色の章-11-】
【ヤクソ・コルメクュンメンタウュクスィ-要するに第三十一話-】恐るべき?大総督☆彡【ヴィースィ・ヴェーリ・ルク-五色の章-11-】
ヘルデスラー大総督は落としてしまったマスタとかいうヴァルコイネンさんの弟だが、ぬいぐるみだか妖精だかを、そそくさと拾い上げます。
その姿は確かに、ふつうのおじさんにしか見えないです。
強いて言えばですけど、仕事に疲れているおじさんです。
「では、行くぞ! 毒電波解放波!」
そう言って、ヘルデスラー大総督こと山本さんは、今度はマスタを落とさないように小脇に抱えつつ両手を前に突き出しました。
けど、何も起きません。
私だけには。
私以外の、ヴァルコイネンさんを含め、私以外の魔法少女達が急に苦しみだしました。
無敵の肉体を持つアンバーちゃんですら苦しんでいます。
違います、アンバーちゃんこそが一番苦しんでいる様に私には見えます。
「え? なに? なにをしてるんですか?」
訳も分からず私は聞きます。
他の皆は頭を押さえてうずくまってしまっていますので。
私が、しなくちゃいけないですよね?
ここは私が頑張らないといけない場面だと思うんです。
「この技は…… いや、この魔法は魔法の資質、魔法適正の高いものほど影響を受け、毒電波から解放される魔法なのだ!」
だから、一番魔法適正のあるアンバーちゃんが苦しんでいるっていうんですか?
あー、それで私には影響ないんですね。
「わ、私が何ともないのは魔法適正ゼロだからですか」
わかっていても少し悲しいですね。
せっかくの魔法少女体験、コスプレじゃなくて本物を体験したかったです。
でも、そのおかげで私だけは自由に動けます。
まあ、ただの女子高生なので私にはできることは限られてますが。
「そのようだな。だが一般人一人が毒電波を受信しているからと言って脅威ではない。後からこのアルミ帽子を被せてあげようではないか」
逆に言えばアルミホイルの帽子を被らなければ平気ってことですか?
なら、意外と平気?
「い、いやです!」
「ふっ、無駄な抵抗だな。じきに魔法少女達は毒電波から解放され、真の自分を取り戻し、我が同胞となるのだ!」
この会社の人達を仕事ゾンビに変えたのはやっぱりこの人が原因だからぽいですね。
あとこの人、本物の魔法使いなんですっけ?
えーと、よくわからないですが、よくわからないものにはよくわかないものに頼るのが一番ですよね?
「ヴァ、ヴァルコイネンさん! 私の力は皆に流れるんですよね?」
「そ、そうだゾ! あ、頭が割れる様に痛いんだゾ!」
頭を抱えるクマのぬいぐるみ……
少しかわいいです。
今はそんなこと考えている暇はなかった!
「なら、私を介して皆に魔法界のパワーを送ってください! 最大限に!」
私を介してどんどん皆によくわかない不思議魔法パワーを送れば、それでどうにかなる!
かもれいないです。
「そ、そんなことしたら、プナイネン・ルージュ、キミの精神は…… いや、魔法適正が正真正銘のゼロだから影響もないはずなんだゾ! 行けるゾ! うおぉ! 魔法界の不思議な魔法パワー! プナイネン・ルージュに集まるんだゾ!!」
そう言ってヴァルコイネンさんは天を仰ぐような恰好をしました。
あ、妖精さんは呪文も何もいらないんですね。
「なに!? 何だこのおぞましい力は!?」
「ハカセ! まずいっピ! いくらハカセでもこの魔法力量はどうにもならないっピ!」
私には一切感じることはできないんですが、どうも物凄いなにかが凄いことになっているようです。
その変化は頭を押さえて倒れ込んで皆にも出てきています!
「ルージュから力が物凄い力が流れて…… 来ている!?」
「ルージュちゃん!」
「す、すごい力を…… あっ、体も動く!」
「ルージュさんから力が流れて来る! 力が溢れます!」
そう言って私から流れている、と思われるなんだかの力を受け取って皆が立ち上がりました。
もう頭痛に苦しんでいる様子はないです。
「馬鹿な! ワシの毒電波解放波を打ち消したのか!」
ヘルデスラー大総督もこれには驚きを隠せていません、行けます! これは行けます!!
「あ、あり得ないっピ! こ、こんな大量の魔法力に耐えうる人間がいるわけないんだっピ!」
「マスタ、プナイネン・ルージュは正真正銘魔法適正ゼロの人間だゾ! 魔法に対する負荷もゼロなんだゾ!」
ヴァルコイネンさんがなんか、それっぽいことを言ってますが、私にはよくわかっていません。
それでもとりあえず負荷って言葉は気になりますよ?
「え? 負荷? なんですか? それは? 私聞いてないですけども?」
「気にすることないゾ! 普通はちょっと自分の欲望に正直なるだけなんだゾ! 直ちに影響はないんだゾ!」
え? なにそれ……
欲望に正直に?
だからアクアやグリーナリーさんがあんなことを?
他の二人は、私が知っている限り平気そうですけど。
「え? わ、私は大丈夫なんですか? 相変わらず何も感じはしないんですけど?」
「プナイネン・ルージュはそもそも魔法適正ゼロだから、本当に何の影響もないんだゾ! 普通に人間だと既に廃人になるくらいの魔法力がキミを通して他の魔法少女に送られているだけなんだゾ!」
え? は、廃人? 本来なら廃人になっちゃうんですか?
それって他の四人平気なんですか?
私に影響なくとも他の四人には直ちに影響ありそうですけど?
「え? それ本当に大丈夫なんですか? 私はともかく他の四人が…… 欲望に正直になってしまうんじゃ?」
「いかしかたのない犠牲なんだゾ」
え? 今なんて言いましたか、このぬいぐるみ!?
そして、背中にぞわぞわっとしたものを感じます。
振り向くとそこには私を見つめるアクアさんが科を作って立ってました。
「ねえ、ルージュ。あなた、本当にかわいいですね。私は最初から目をつけていたんです!」
そう言われて、うっとりとした表情のアクアさんが私の首に手を回してきました。
振り払おうとしても、アクアさんの力が強くて振り払えないですよ?
こ、これ不味いんじゃないんですか?
「え? えーと、アクアさん? ちょ、ちょっと目を覚ましましょう! ピッ、ピンクローズさん助けてください!」
そう思って首だけピンクローズさんの方を向くと、目を輝かしたピンクローズさんがいました。
私の話は聞いている様子はまるでないです。
これはもうダメかもしれませんね。
しかも、それだけではなくピンクローズさんは両手を上にかざし、大きなショッキングピンクに輝く魔法の球体のなにかを創り出しています!
あれが放たれたらヤバいんじゃないんですか?
「はい、吹き飛ばしましょう! 何もかもです! そして、お給金を貰いましょう!」
「ぴ、ピンクローズさんまで!?」
まずい、まずいですよ!
と、私が驚愕している横で、グリーナリーさんがアンバーちゃんの足に抱き着きながら、
「アンバーきゅん、女の子とか嘘だよねぇ? ねえ、アンバーきゅん」
なんてことをほざきながら泣いています。
それに対して、グリーナリーさんをガン無視したアンバーちゃんが右手を掲げています。
「ボクは正義のヒーローになりたかったんです! だからボクも男の子に本当はなりたかったんですよ!」
と、グリーナリーさんのほうなど一切見ずにそう言ってます。
だ、ダメだ、混沌としています!
これは話が通じる人が誰一人、居そうにないですね。
「じゃあ、男の子になろう? ねえ、アンバーきゅん、男の子になりましょうよ? この膨大な魔法界の力があればそれも可能よ!」
「え? そうなんですか?」
と、それにはアンバーちゃんが嬉しそうに反応します。
アンバーちゃんは本気で男の子になりたいんですか?
「流石に無理だゾ。でも魔法少女の肉体だけなら、できなくはないゾ」
それに真面目にヴァルコイネンさんが答えます。
それを聞いたグリーナリーさんが目を輝かせます!!
「そ、それよ! 心は男! でも女に生まれてしまった少女が魔法少女になり、その力で男の子になるのよ! そして、敵の怪人のキリギリスとの禁断の愛! これよ!」
「なんかなんでもありなんだゾ……」
ヴァルコイネンさんの突っ込みを無視してグリーナリーさんは何か盛り上がっています。
が、私はそんなことを気にしている場合じゃありません。
「それよりもヴァルコイネンさん、助けてください! このままだと私、アクアさんに押し倒されますよ!」
グイグイと唇を尖らせてアクアさんが迫って来ているのですが、た、助けてください!!
「まあ、減るものはないんだゾ」
な、なんてことを言うぬいぐるみですか!!
「あ、ありますよ! 私の心とか!」
そうですよ、初めてのキスが魔法少女とか……
あっ、それはちょっと素敵かも知れないですが、この状況は嫌ですよ!
それにキスだけで絶対終わらなそうな感じですよ!?
「ぬぅ、舐めおってからに! ワシの最大奥義! 毒電波破壊撃滅波だ! 喰らうがいい!」
この際、ヘルデスラー大総督でかまいませんでの助けてください!!
「は、ハカセの奥の手だっピ!」
そうは言われても、私はアクアさんに押さえつけられて今にも押し倒されそうなんですけど!!
奥の手ってなに? どうなんですか?
なんですか、この状況!
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