episode3.4




         ◎◎◎













 アンドロイド、METSIS達が動き出す中、ルミナ達はシリウスとレグリウスを結ぶ道に再び立っていた。


咲いていた花々が枯れ、新たな花、草木がより一層青々しく、その生命を輝かせんばかりにおおい茂っていた。


そんな道を歩いていくと、汚染地と汚染地の間を縫うようにして出来た、小さな小さな道らしき跡があった。


 彼らの次の目的地は、その道らしき道跡の先にある。




「あったね。この先にヤツが言ってた技術集落がある」


「集落の長をヤツ呼ばわりしないでね、クラウド……」


「ヤツはヤツさ!情報を出し渋りやがって……」


「この先に、"ポラリス"の集落があるのですね」


「初めて聞くぞ、その集落」


「ああ、まさかそんな集落があるなんてねぇ……ワクワクが止まらないってんだ——」
















——ある日のレグリウス、長の家にて——














 クラウド、タウリーさらにそこにルミナを加えて、長の家に集まっていた。


他に護衛や集落の人々を除き、その四人だけで卓を囲むこととなった。




「全員揃ったようだな……クラウド、お前だけでも除きたいところではあるが、そのお前が知りたがっているのだから、仕方ない……」


「相変わらずの減らず口だね。アタシの武器で消し去ってやっても構わないんだがねぇ……」


「クラウド!変なこと言わないで!せっかく情報くれるって言ってくれてるんだから!」


「ちぇ……分かったよ」


「それでは、本題だ。まず既に卓上にあるモノに目を通して貰いたい」




 そう言われ、三人は卓上に置かれていた"黒い金属質の箱"を見た。まじまじと見つめる三人を少し退け、長はその箱を手に取る。




「一見ただの箱ではあるんだ。ただ、ある言葉を唱えると、この箱がその真の姿を現すようになっている」




 そう言い、長がその言葉を唱える——。




「『星々の煌めきを、我らに。』」




 すると、箱が忽ち光出しその姿を二丁の銃へと変化した。




「!!なんだいこりゃ!?」


「箱が、銃に……」


「不思議、ですね」




「『星の下へ、帰還せよ。』」




 またも長が唱えると、二丁あった不思議な銃が、再び箱の姿へと戻った。




「見ての通り、不思議な箱であり銃だ。どんなものであるのか、私にも、この集落の者でも分からない」




 箱を卓上に置き、座って話を続ける。




「ある日の夜だ……突然、見慣れない服を着た者がこの集落を訪れ、私の元へとやって来た。そして私にこう話したのだ」


『この箱を受け取ってくれ。そしてこの集落で災いが起こったら使え。必ず力となろう。そしてその災いが起こった後、我らが"ポラリスの地"へと赴くが良い』


「このように言われたのだ。そしてこの箱の使い方だけ教え、私の家を出た。慌てて追いかけたが、その者はいつの間にか、消えていたのだ」


「消えた……ね」


「それって……ん、どゆこと?」


「恐らく、サダルが使ったものと同じような物だと思います」


「ん?なんだいそりゃ?」


「彼女は私との戦闘の後、ある穴へと入っていきそれから消えました。瞬間移動、と呼ばれる物だと」


「ほほう、そんな物が……」


「話を続けて良いか?……そしてポラリスの地、というのは噂程度でしか聞かないものだが、この大陸の中央部に外部との接触を極端にしない者達がいるらしい。そこを絶の集落、と呼ぶこともあるようだ」


「絶の、地……」


「そんな場所があるのですね」


「フッフッフ……よぉしそうとなれば、そこに行くしかないねぇ!!次の目的地が決まったね、アンタ達!」


「ちょっと怖いけど……行ってみる価値あるね……!」


「道があるかもわからん。必要な物があったら言ってくれ。この集落で集めよう」


「ありがとうございます」













——そして、現在に至る——













「へぇ……そんなことがあったのか」


「はい。もしかしたら、私が何者であるかの手掛かりもあるかもしれません」


「それにサダルや他のアンドロイドに対抗出来るものがないと、だよね?」


「それもあります。相手は一人ではないでしょう。かと言って、私一人でどうにか出来る保証もありません」


「アタシゃ、アンタが何者かが分かればそれで十分さ。それまでは……きっちり抵抗させてもらうとするさ」


「すまないが……話に着いていけないぞ。何か敵が居るのか?」


「そういえばおじさんに話してなかったね。実は……——。」




 タウリーがクレスに、これまでの出来事を話した。途中、抜けていることや説明不足の部分をクラウドとルミナが補った。




「そんなことが……よし、分かった。俺もルミナを守ろう。俺がどれだけ力になれるかは分からないがな」


「あらそうかい。まあ、この旅に着いて来たんだ。頑張りな」


「ありがとうございます、クレス」


「うんうん、おじさん頼りになるねぇ~」




 話しながら、ポラリスへと至る道を進む。汚染地の間を縫うように行けば、そのまま目的地へと行けるだろう。


そう考えながら、段々と道という道が無くなっていく中、四人と一匹は歩いていく。ホープはその四足を前後させながら軽快に歩いていく。他の四人も、足を止める者はいない。


 ある程度歩いた所で、タウリーがクレスを手招きし、クラウドとルミナとの距離を取った。


タウリーが話しかける。




「おじさんってさ、ホントはルミナを追いかけて来たんだよね?」


「っ!そんなわけ——」


「見てたら分かるよ。ずっーと、ルミナのこと見てるじゃん」


「あ、あのなぁ……」


「ルミナのこと、好き?」


「……」


「大丈夫、僕もおじさんに迷惑かけたくないからね。一緒に旅する仲間だし」


「そ、そうか?」


「うん、それにね……ルミナは多分そういう感情知らないだろうから。さっきも話したでしょ?ルミナのこと」


「ああ」


「だから、おじさんにもそういうチャンスがあると思うんだよねぇ~」


「茶化すな!」




 そう会話しているうちに、いつの間にか二人との差が出来てしまっていた。それに気づいた二人が声をかける。




「大丈夫ですか?タウリー、それにクレス」


「アンタ達、もうバテたのかい?男が廃れるってもんだ……休憩、するかい?」




 それに対し、タウリーが答える。




「大丈夫ー、すぐ行くよー!……それじゃ頑張ってね、クレスおじさん!」


「あ、おい!……全く、言われなくてもなっ!」




 そうして二人、駆け出す。


この先にある新たな未知との遭遇を目指して——。

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