呪いは程々に

@yuzu_dora

呪いは程々に。

暗い室内

魔女の格好をした三人が円になって座っている。

真ん中には蝋燭で囲われたカボチャ人間のぬいぐるみ。

顔に女の写真が貼られ、お腹が開かれている。


「なな、はち、きゅう、じゅう。」 

「ニンニク入れるよー。」

「ぬいぐるみのお腹閉じるね。」

「ねぇ、本当に大丈夫なの?」

「……呪いの念込めたから大丈夫。」

「何かさ、ちょっとショボくない?」

「憎たらしい顔に泥塗れれば良いから。」

「ぬるっと呪う感じだぁ……。」

「ねー。」

「呪いには違いないもん。」

「何て呪った?」

「ニンニク臭くなれ!」

「泥濘に落ちろ!」

「猫に嫌われろ!」

「野糞がバレろ!」

「夏に効くラインナップ。」


吹き出して笑う三人。


「人間の尊厳を奪ってやるのよ。」

「ぬいぐるみ、可哀想かも……。」

「眠ってたヤツだから。」

「……。」

「呪いだ……。これは立派な呪いだ。」


②、二人にスマホの画面を見せる。

とある神社の画像。


「斜め上の効き方するって噂の神社なんだけど……。」 

「……人間VS神、的な?」


②、頷く。

①と③も頷く。


「抜け毛酷くなります様にってお願いしよっと。」

「寝癖が直りません様に。」

「呪いが頭皮限定なんだけど。」


ケラケラ笑いながらスマホの画面にお願いする三人。

電気を点ける①。

後片付けを始める三人。











酒盛りした後の部屋。

テーブルにはカボチャのケーキの残骸がある。

ゴミ袋の中には呪いセット。

床にはお菓子やつまみの小袋が散らばっている。

直で寝落ちしている様子の三人。

各々むっくり起き上がる。


「何かさ、頭痛いんだけど……。」

「新田も呪ってたりして。」

「ヌメっとする様な……。」

「寝てたからでしょ。お風呂入る?」


②、頷く。

①、お風呂のお湯を溜めに行く。


「飲み過ぎたわ……。」


テレビを点ける②。

③と歯を磨きに洗面台へ行く。

はしゃぎながらのんびりと朝の支度をする三人。


テレビから新田の頭部が沼地で見つかるニュースが流れる。

三人が気が付かない間に次のニュースに切り替わる。              


(終わり)

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