姫とポチとルビームーン
@MenTaiko5524
第1話 召喚
「あなたはポチよ!よろしくね」
幼い姫の初めての使い魔召喚。出てきたのは一体の骸骨だった。
それはあまりにも赤かった。それは浴びた返り血でも肉から引っぺがした際に付いた自身の血でもなく、その骨格が赤く輝いていた。
「きれい」
透明度のある美しい骨にくぎ付けの姫に、教育係として仕えている執事が口を出す。
「これはルビーですな」
「ルビーってお父様の杖に付いてる石だっけ」
「はい。歴代の王が継承される王杓にはめ込まれた歴史ある石でございます」
「へー。じゃあ、ポチもあの石みたいに輝くのかしら」
「それは何とも。しかし、この骸骨は骨ではなく宝玉でできていますから、特殊な個体であることは間違いないかと」
「そうなんだ。うーん、ん?」
「どうされましたか」
姫が何かに気づいたらしい。それが何かを問う執事。もしかしたら体調に異変でもあるかもしれないので注意しなくてはならない。
「なんか、もう一個あるみたい」
「なんと武器持ちですかな、あるいは眷属を呼べるかと」
「呼んでみていい?」
「はい。しかし、何が来るか判別がつきませんのでお気を付けくださいませ」
「はーい」
そして、彼女は集中し始めるとそこに光が集まる。それは真っ赤な光であり、奇しくも骸骨に似た光だった。執事も警戒するがそれはあっさりと現れた。
「きれーい」
姫の感想は単純だが真理だ。それは真紅に輝く大剣だった。正確には濃淡様々に装飾を染め上げた素晴らしい大剣である。だが、妙な違和感を感じる。
その剣からではなく自分自身に覚えがあるからだ。
「姫様。その剣はいかがしましょう」
「ポチが使うんでしょ」
「姫様がお持ちになることもできますが」
「いいの。ポチが私を守ってくれるでしょ」
それはそうなのだが、その剣に見覚えがあることが不思議でしょうがない。
執事は戦場に出ることはないし、自分たちは魔法を使うので剣の類はほとんどないのである。だからこそ、どこで見たのかを思い出したいのだが考える前に姫は喜色満面で執事に伝える。
「お父様に見せに行くの!」
「御意」
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