第306話・十六夜一族VS人妖混合チーム05


一方、十六夜いざよい一族の『月』部隊は―――

川童かわこの銀による津波のような水流に襲われ、流されかけたが、


何とか近くの木々にしがみつき、即座に態勢を立て直す。


「今の攻撃でも崩れないのか!」


「さすがに十六夜一族の精鋭ね」


弥月みつき兄妹が、同じあやかしを狩る一族として彼らを評価する。


「チッ! やはり弥月一族の者がいたのか!」


「ここはいったん退くぞ! 後で仲間の救出を―――」


奇襲が見破られた以上、利が無い事を悟ったのか『月』部隊は

180度方向を変えて駆け出す。


だが彼らの足はすぐに止まる。


目の前に作戦の最優先目標にして最高戦力……

『鬼』が立っていたからだ。


でる前に逃げるでないわ。

 もっとアタシと遊んで行けぃ♪」


そこにいたのは、年齢こそ十才くらいに見えるが、

頭には鬼の象徴である角が二本あり、和風の着物から露出した肌は

真っ赤で―――


「『鬼』です、隊長!」


「わかっている!!」


いくら今回の作戦に消極的と言えど、任務は承知している。

『月』部隊の隊長は対策として持っていた反転の冥石めいせきかかげ、


「喰らえ!! 妖力ようりょく反転!!」


彼が両手で印を結ぶと、その手から衝撃波のようなものが飛び出し―――

それがまっすぐ鬼の舞桜まお射抜いぬく。


「やったか!?」


「いや、それはフラグというものだべ」


『月』部隊メンバーの1人に、追い付いた川童かわこの銀がツッコミを入れる。


薄い膜のような光に包まれていた彼女の体は、段々とその姿をあらわにし、

やがてその全身を彼らの前にさらす。


「な……」


「え……?」


「そ、そんな」


声と同時に十六夜一族の精鋭は後ずさる。


「反転、のう。確かに妖力が反転したわ。


 つま先まで力が満ちあふれておるようじゃ」


鬼っ子―――舞桜の姿は、十才ほどの少女から二十歳前後の、まるで

巨乳モデルというような抜群のプロポーションを持つ女性へと

変貌へんぼうしていた。


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