第230話・作戦03


夜10時過ぎ、メイド喫茶の営業時間終了後―――

詩音と『ミツヤ』に化けた野狐やこは、近くの駐車場へと移動した。


飛縁魔ひのえんま』・『雪女』と『話し合い』をするためだ。


「まあやってもらう事と言っても、たいした事はないから」


「店内でもちょっと触れたけど……

 せいぜいが尾行、ハニトラ、それに相手を化かして道に迷わせるか、

 トラブルになりそうになった時に、相手を煙に巻いて逃げるとかね」


気が強そうな眼鏡の長髪の女性と、ショートカットに丸顔の―――

昔風の着物が似合いそうな和風の同性が語る。


「メイド喫茶の合間でもいいんですか?」


「ダイジョーブダイジョーブ。

 私たちも『表向き』の仕事を持っているしね」


「出来れば『裏』の依頼をそこでも聞いてもらえると嬉しいけど」


詩音の問いに、人外2名が答える。


「手伝うのお仕事は……あなたたち2人だけの?」


「いんや。他にもいるよー」


「私と『飛縁魔』も含めて5人だね、今のところ」


今度は『ミツヤ』の質問にも答え、彼女たちは続けて、


「まー私たちはこうして会っているから?

 正体を明かしているけど―――」


「スカウトを受けてくれるって約束してくれないと、

 他の仲間には会わせられないけどね」


そこで詩音と『ミツヤ』は顔を見合わせる。


「そこはアタシたちも望むところと言いますか」


「もし他に仲間がいるのであれば……

 全員、お互いの紹介も含めて会って欲しかったんです」


その申し出に『飛縁魔』は拝むように手を叩いて、


「そういう事ならいつでもOKよ!

 何か今、リーダーがどこかから目を付けられているっぽくて、

 開店休業状態なのよね」


「だから会ってくれるっていうのなら、いつでも構わないけど?」


彼女たちの答えに、詩音と『ミツヤ』は悩むような姿勢で、


「ん~……さすがに今日明日は予定が」


「じゃあ、来週の土曜日なんてどうでしょうか?」


その提案に『飛縁魔』と『雪女』はうなずいて、


「OK、わかった」


「仲間にも予定を開けておくよう言っておくわ」


そして4人のあやかしは連絡先を交換し―――

それぞれ、その場を後にした。


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