第228話・作戦01


「協力者である安武やすべさんと、弥月家ウチの調査機関から

 情報が入った。


 最後の1人―――あやかしの正体だが、『雲外鏡うんがいきょう』の

 可能性があるとの事だ」


特別第六課の入ったビル、その会議室で―――

琉絆空るきあが職員たちを前に語る。


「『雲外鏡』……ですか」


「それはどのような」


複数の男女職員に聞き返され、彼は説明する。


「本来は、あやかしや物の怪たちの正体を見破る事の出来る鏡だ。

 それが人間ベースとなっていると、人間の裏の本性や悪事を見抜く事が

 出来るようになっているのでは、と推測される」


琉絆空の話す内容に室内はざわつく。


「彼らの活動も段々と読めて来た。

 まるで時代劇の仕事〇だ。


 表では信用のある職に就きながら、裏で依頼を受け、ターゲットに

 報復する。


 その過程で―――かなり闇の分野に顔が利くらしい」


「合法……ではありませんね」


職員の1人が指摘するが、


「反社会の人間とのつながりがあればそうだろうが、彼らの実力からすれば

 一方的に使っているという事も考えられる。


 都合の良い時だけ使って捨てる駒というところか。


 恐らく、例のドラッグもその『雲外鏡』主導で行われていたのだろう」


弥月みつき家の協力者の言葉に職員たちは黙り込む。


「さて、彼らを逮捕するなり取り押さえるなりする件だが―――


 ちょうど最近、弥月家では妖の協力者が増えたところだ。

 搦め手でも何でも使っていくぞ。


 幸い、連中は野狐やこである詩音に接触している。

 近い内にまた来るだろう。


 それを利用して叩くぞ」


「あー、和泉詩音いずみ・しおんさんですねっ!?」


「はいはーい! その作戦には私もぜひ参加しますっ!!」


と、女性職員たちが熱気を帯び……

琉絆空は詳しい作戦内容を共有する事にした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る