第178話・女子高生3人組、来たる01


「ただいまー」


「今回は大所帯でしたね」


金曜の深夜―――

東北にある実家の前に到着すると、俺と裕子さんが車を降りながら

言葉を交わす。


何せ俺と裕子さん、倉ぼっこの理奈、弥月みつき加奈さんは東京の同じ

会社に勤める4人。


それに加えて加奈さんの兄、琉絆空るきあさん。そして野狐やこの詩音。


さらに今回はそれに加えて……

卯月うづき瑠奈るなさん、速瀬はやせ水樹みずきさん、もみじ一花いちかさん―――

あの女子高生3人組も同乗していた。


俺のミニバンは8人乗りだが、今回は9人乗るという事で……

補助用のイスまで出して何とか全員乗る事が出来た。


「おおー、あの3人か。よくここまで来ただべなあ」


そこで川童かわこの銀が姿を現し、


「もうギリギリだよ。これ以上人数が増えるんだったら、ワンボックスカーに

 買い替える事も視野に入れないとなあ」


実際、銀や舞桜まおさんもいるのだ。

全員で移動する事を考えたら、それも選択肢だろう。


「琉絆空様、待っておったぞー!!」


そこへちょうど鬼の彼女も現れ、彼氏に抱き着く。


「む? この娘どもは?」


弥月一族との顔合わせの際に会っているが、意外な訪問だったのか

疑問の声を上げる。


「詩音お姉さまの生まれ故郷だと聞いて来ましたっ!」


「来ましたー!」


「……ここが、詩音お姉さまを育んだ土地……!」


卯月さんと速瀬さんが元気よく答え、椛さんは大きく深呼吸する。


実際、詩音の恋人にもなった事だし、『協力者』として実家ウチを紹介するのは

遅かった感もある。


ちなみにちゃんとご家族の方々には許可を取ってあり、土日だけ

宿泊していく予定だ。


「そうかそうか。じゃあ琉絆空様、さっそく行こうぞ?」


そして舞桜さんは琉絆空さんの腕を引っ張って連れて姿を消し、


「あれ? ここに泊まっているんじゃないんですか?」


「あー、舞桜さんはトレーラーハウスを山奥に持っているから。


 銀と加奈さんは離れに泊まるし、ここも無駄に広いから好きな部屋に

 泊まっていいけど」


女子高生3人組の1人の質問に答えると、


「あたしたちは詩音様の部屋に決まっています!!」


「……他に選択肢など……無い……!」


他の2人もガッツポーズのように握りこぶしを作るが、


「あれ? 僕、しーちゃんと一緒の部屋なんだけど」


それに対し理奈がツッコミを入れると、


「ええと、寝る時は私が安武やすべさんの部屋に行きますから」


「お隣がアグレッシヴラブラブビーストモードで眠れるかなー」


その言葉に詩音と恋人の3人組が顔を赤らめ、ひとまず全員

それぞれの部屋に行く事になった。


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