第130話・弥月家にて01


「どーするのよお兄ちゃん。何て切り出すの?」


「だから今、それを考えているんだって」


都内某所のとある家庭で、一組の兄妹が話し合う。


兄は中肉中背、しかし服の中はいわゆる細マッチョという、それなりに

鍛えているタイプで、


妹の方も、武術経験者らしき肉体能力を備えていた。


あやかしを狩る一族、弥月みつき家―――

その実家である自宅で琉絆空るきあ加奈かなは、それぞれの

恋人となった妖と一緒になるために苦心していた。


「何せ鬼だからなあ、舞桜まおさん。

 一度両親に会ってもらって話せば、わかってもらえると思うけど」


「だからさっさと話してよ、もー」


二階にある兄の部屋で、妹はゴロゴロしながら彼に催促する。


「簡単に言ってくれるなよ。切り出すタイミングってモンがあるんだ。


 あー、何かヤバい妖怪でも現れて共闘って展開でもなりゃ、話は

 早いんだが」


「マンガの見過ぎよ。

 じゃあこの前の話で出た、一族が妖と和解したり組んだり、

 もしくは結ばれた記録が無いか調べた?」

(■5章123話 過去の記録参照)


そこで琉絆空は寝転がる加奈に向かい、


「一応調べちゃいるんだが、何せ紙での記録が多いからなあ。

 いい加減全部データベース化して欲しいもんだ。


 てかお前も少しは動けよ。自分ばかりに任せてないでさー」


「無理。てか多分私が動いたら、光の速さでお母さんにバレる。


 この手の話で女のセンサーをめちゃいけないわ、お兄ちゃん」


「お、おう……」


そんな兄妹のやり取りの後に、階下から声がして、


「琉絆空ー、加奈ー。ごはん出来たわよー」


母親の催促に2人は立ち上がり、


「わかった、今行く」


「今日は何かなー?」


兄妹そろって、一階の食卓へと急いだ。



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