第27話・遠方より人来たる・05


「はぁはぁ……つまりですね、俺はロリでも同性愛者でもありません。

 あとコイツらはただの居候……」


「し、失礼しました……」


俺は何とか武田さんの説得を終え―――

ようやく現場は落ち着きを取り戻しつつあった。


「では私はいったん出直し……って、えっ!? も、もうこんな時間!?」


彼女が外を見ると、すっかり日は暮れており―――

夕闇がそのとばりを下ろし始めていた。


「あー、夜の山道は危険だよ? 今日は泊っていった方がいいんじゃない?」


「そうですねえ。ここ、外灯も少ない地域ですし」


「急ぐ用でも無ければ、そうした方がいいっぺよ」


ここぞとばかりに、倉ぼっこ・野狐やこ川童かわこの人外3人組が宿泊を勧める。


俺はいったんため息をつくと、大きく息を吸い込んで、


「お前らが合間合間で、『あれ、もう何度も一緒に寝たのに?』とか、

 『アタシとの事は遊びだったの!?』とか、お前らがふざけるから

 時間がかかったんだろうが!!」


それで武田さんもなぜか『わ、若さでは負けますけど!!』とか、

『人外のオスがなんぼのモンじゃー!!』とか―――

気が動転していたのか、何を言っているのかわからない反応を見せたけど。


「あ、あの……ご迷惑でなければぜひともご一泊させて頂けないでしょうか」


おずおずと眼鏡をかけた秘書風の彼女に上目づかいでお願いされ、


「あ、は、はい。確かに車とはいえ、女性をこんな夜中に1人で帰すのは

 不安がありますし―――


 部屋数は無駄に多いですし来客用の布団もありますので。

 よろしければどうぞ。


 しかしお腹が空きましたね……

 夕食を用意しますので、少々お待ち頂けますか?」


「あっ、そ、それなら私も手伝います!」


こうして家に女性―――武田さんが一泊していく流れになった。




「ではおやすみなさい。

 あと、倉ぼっこたちが何かイタズラするかも知れませんが、適当に

 あしらってやってください。

 基本、悪さはしない子たちなので……」


「はい。いろいろとご迷惑をおかけします。

 それではおやすみなさい」


そこで俺は頭をぽりぽりとかきながら、


「しかし、寝間着まで持ってきているとは思いませんでした。

 そのまま寝てもらうわけにも、と考えていたので」


「いっいえ、元々こちらのビジネスホテルかどこかで泊る予定でしたから。

 そ、それに2・3日有給も頂いておりますので―――」


「そうなんですか。


 あ、二階は自分は上がりませんのでゆっくりしてください。

 お着換えもそちらで」


俺は彼女を二階に向かわせて休ませると、自分の一階の寝室へと向かった。


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