第25話・遠方より人来たる・03


「あの、すいませんでした」


「まさか、ミツに続いてオラたちが見える人が来るとは」


「ミツ様のお客様にとんだ失礼を……」


人外三人組は固まってジャパニーズ・ドゲザを武田さんに行い、


「いえ、そこまで謝って頂くほどの事では無いと思いますが。

 ですが、ちゃんと存在しているんですよね? この子たち」


と、彼女は俺に視線を向ける。

まあこれは説明しなければならないよな。


「そこの女の子と男の子は倉ぼっこと河童です。

 2人とも、この家に祖父の前の代からいたようで。


 あとそこにいる野狐やこは女の子っぽいですが男の子です」


俺の紹介に、三人組は改めて頭を下げる。


「は、はあ……そうでしたか」


「説明しておいて何ですが、信じてくれるんですか?」


俺が不安になって聞き返すも、


「いえ、以前こちらにお邪魔した時も、私以外にはこの子たちは

 見えていなかったっぽいので。

 それで今回、私だけで来たのですが―――」


「あれ? 以前って……武田さんがこちらに来られた事って

 ありましたっけ?」


そこで彼女はハッとした表情になったかと思うと、

そのまま俺に対しジャパニーズ・ドゲザを敢行かんこうし―――


「……もっ、申し訳ございません!!


 実はこちらに安武やすべさんのお兄さんを寄越よこしたのは、

 私なのです!!」


「はい??」


話が妙なところに飛び、俺は間の抜けた声を出す事しか出来なかった。




「はあ、なるほど。


 私を自社に引き抜こうとしたちょうどその頃、私が引っ越して

 しまっていて……

 さらに会社としては社員の個人情報までは教える事は出来ず、

 それを調べている過程であのバカ―――もとい兄に引っかかって

 しまったと」


「その、説得してくれると言われてつい……

 まさかあのような人物とは思わず、ご迷惑を」


聞けば決して安くない前金も渡したそうで、そういう意味では

彼女は被害者でもある。

しかし本当に人に迷惑をかけまくっているなアイツは。


「何かすいません。私の兄がご迷惑を」


「い、いえ! 安武さんが謝る事では……!」


そこでしばらくお互いにペコペコしまくるジャパニーズ・スタイルとなり、

落ち着くまでに時間を要した。

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