第2話・倉ぼっこと川童
「いやいや! 久しぶりに会った友達に言う事がそれ!?」
「やっぱり都会さ出て大人になったら汚れちまうっぺよぉ……」
土蔵から家の居間に改めて場所を移動し、彼らと話し合う。
ていうか俺自身は東京生まれの東京育ちなのだが。
「俺の
下手すりゃ俺より年上なんだから遠慮はしねー」
『えー』『何だべそりゃ』とブツブツ彼らは不満を漏らすが、
「ここは俺が買ったんだから、俺が家主だよ。
その俺に黙って土蔵に入って勝手にいろいろしていたんだから、
怒るのは当然だろ」
「ゴメン。挨拶が先だったね」
礼儀うんぬんの話でも無かったと思うんだが。
「やっぱり手土産の1つでも持ってくるべきだったっぺ」
そういう問題でも無い。
しかし今の外見はどう見ても二人とも普通の人間の子供だが……
土蔵で見た姿は
「妖怪、何だよな? 何て呼べばいい?」
すると人外組は正座して姿勢を正し、まずは髪の長い少年の方から、
「僕は『
代々ここの
目白は、母方の旧姓だ。そして倉ぼっことは座敷童の一種とも
言われている。つまりこの家の守り神のようなものか。
「オラは
河童でも間違いねぇと思うだべが、ここではそう呼ばれているべよ」
続いて日焼けした悪ガキといった風体の少年が自己紹介する。
よく見ると頭のてっぺんに、10円ハゲならぬ500円玉くらいの
髪の無い部分があり―――
多分これが皿となっているのだろう。
「しかし、遊び友達とは言っても会ったのは子供の頃だけだったよな?
どうして今頃?」
俺の質問に二人は頭をかいて、
「だってこのへん、もう犬と老人しか歩いてないもん」
「村人が親戚の
すっかり過疎化しているものなぁ。
下手すれば俺が住人となる事で、村の平均年齢を下げているまである。
「爺さんは、お前たちの事を知っていたのか?」
すると彼らは首を横に振り、
「正直、見えてなかったと思うよ。
それに最後の方はかなりボケちゃっていたし……」
「んでも、気付いていたんじゃないだべか。
縁側にお菓子やキュウリがよく置いてあったし、あの部屋を使うのも
黙認していた気がするべ」
爺さんもかつての遊び相手だったのかな。そう思うと切ないものがある。
「だけど、俺はあまり遊び相手にはなれないぞ?
仕事もしなければならないし」
そう言って手持ちのノートパソコンを見せると、
「仕事って、何のー?」
「PCさえあればどこででも出来る仕事だよ。
データをやり取りする事が出来ればいいからな」
俺の仕事はとあるアプリの運営だ。と言っても内容は雑用に近い。
専門学校なんて行っていない俺は―――
知人の紹介でゲーム会社に勤めていたが、独学である程度プログラムを、
グラフィックならラフも描け、シナリオもサブなら何作品か参加していて
そこそこ使える『何でも屋』みたいなポジションになっていた。
器用貧乏もいいところだが、就職難のこのご時世で何とか食えている。
というようなことを説明していると、倉ぼっこと川童は2人して
人のPCを勝手にいじり、
「うげ、メモリ8
そりゃ64とは言わないけど、最低16は欲しくない?」
「土蔵のマシンも4GBだったっぺ。
それよりはマシだと思うべが、こったら性能で仕事が出来るべか?」
「……何で妖怪が文明の利器にそんなに詳しいんだよ。
後それはサブマシンで、土蔵のヤツと取り換える予定のものだ」
『えー!?』『それは無いっぺよぉ!』と反発する妖怪たちをよそに、
俺は今後のためにいろいろと準備をし始めた。
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