スキルor狩り
街にざわつく人だかりができている。
人だかりといってもそこに人間の姿は一切ない。
かつて人間の
その一角に多種多様の
「なあ、知ってるか?スキル狩りの噂」
「ああ。ここ最近で被害に遭あった奴らはみんな自分の“
「奪われるならまだいい。抵抗したって奴は全員もれなく返り討ちにあってる」
「それも奇妙なやられ方をしたって話さ」
「奇妙なやられた方?」
「ああ、なんでも。彫刻に姿形を変えられたらしい」
「俺は、絵画に閉じ込められた奴を実際に見た。今でも出ること叶わず、ずっとそのままさ」
「人形に変えられ意思疎通ができなくなった奴だっている。生きてるか死んでるかも不明だ」
「食いもんにされて食われた奴もいたらしいぞ!よっぽど不味まずかったんだろうな、吐き出された残骸が残っていたらしい」
「むごい……」
「同志を喰らうか、魔族にしても趣味が悪いな」
「本当に魔族か?噂じゃあ、人間って俺は聞いたぜ。あまりにも
「バカな。人間がこんな場所にいて何の得がある?見つかれば真っ先に殺される対象だぞ」
「だからスキルを奪いに来ているのだろう」
「“闇のスキル”をか?人間共と真反対のスキルだぞ」
「仮に闇のスキルを手に入れたとして使用できるものがいれば。そいつは人間ではない」
「“光の神が人間を加護しているのだ”」
「この世界は分かりやすい。光と闇。どちらか一方にきっちり区分されている」
「人間は光。魔族は闇。太古の“人魔決戦”において、生き残る為に立ち向かう勇気を求めた人間と
「
「そんな几帳面な神が、仮に人間が闇のスキルを使ったと知ったらどうすると思う?
「人間は加護から外れ何者でもなくなるだろう」
「闇の神の加護を受ける我々魔族にもなれぬ、世界から外れた存在となり得るしかなくなるのだ」
「ではやはり、人間という予想は外れたな」
「そうだな。まあ、正体が人間なら……まだかわいい。“魔神”や“天使”、“神”の存在を疑う者達だっている」
「それなら
「それほど、この事件は
「唯一、分かっていることと言えば……」
「ああ、不思議なことに被害に遭った奴らやその周囲から甘いお菓子のような香りが漂ってくるらしい」
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