ダンジョン踏破で願い事を叶えて貰うんです! ~あれ、これって俺が神様の願い事を叶えてるんじゃない?~

辻智晴

第1話 ツチノコ

「金と女欲しぃぃぃぃぃ! 出切れば金優先で!」


 予備校の校舎に叫び声が響きわたる。


「行き成りどうした? 柳田」


「そうだぞ! 男なら金と女が欲しいのは皆一緒だが叫ぶのは頂けないな」


 そう予備校の友人達である金子と飯山は言ってくる。


 俺、柳田誠やなぎだまことは逼迫した事情により金欲しいぃぃぃぃぃ!と叫んでしまった。


「俺、来月にはここに通ってられないかも知れない!」


「また、急だな。一帯どうした?」


「借金でも出来たか?」


「親父が血を吐いて緊急入院したら胃癌だってよ。それで俺の予備校の金所か大学受かっても払う金が無いんだわ」


「それは…………」


「…………ご愁傷様としか言えないな」


「ああ! 何処かにすぐに雇って貰えて大金が手に入る仕事って無いかな?」


「一応、ある事にはあるぞ?」


「え? マジで! 何処? 紹介して!」


「お前も知ってるダンジョンだよ、ダンジョン」


 ◇◆◇◆


 ……ダンジョンそれは神様の退屈から生まれた神様の退屈しのぎの場だった。

 

 ある日突然世界中にダンジョンが現れて空に映像や人々の心に直接神が語りかけてきたらしい。

 

 らしいというのは、もう20年前の出来事だからだ。

 

 語りかけてきた内容によると、あまりにも神生じんせいが退屈なので神界の皆と一緒にダンジョンを作って世界中にばらまいたそうだ。


 勿論、人間の利益になる様にダンジョンの中には人間にとって有用な魔法の様な品物だったり、未知のエネルギーだったり、ダンジョンを踏破すればダンジョンは消えてしまうが願い事を叶えてくれるらしい。


 こんな美味しい話が只というわけでは無く、モンスターがダンジョンの中に居て人を襲ってくる。


 だが、モンスターも倒せば素材や魔石という水に浸けたら電気を発生する石や他の者も落としたりするので有用だ。


 ダンジョンは攻略されれば新しいダンジョンが生まれるという。


 だが、最初は命がけにも思えたこのダンジョンも死んでしまった人達がダンジョンに入る入り口の横の部屋のスペースに現れてからは状況が違った。

 

 人が死なないのだ。

 

 いや、正確に言うと、ダンジョンの中で人は死ぬが、死んだ人はダンジョンの入り口横の部屋で指輪やイヤリング、ネックレスの様な装身具以外は裸で放り出される仕組みになっていた。

 

 ◇◆◇◆

 

 初級冒険者の手取りは200万円らしいが中級冒険者の手取りは4000万円になるらしい。


 上級冒険者となると億越は軽く行くらしい。


 その上となると桁が違って数え切れないらしい。


 そんな冒険者資格だが、資格を持っていても入らない人も多い。


 何故なら、自動車免許よりも簡単で同じぐらいの身分証明書になるからだ。


 かく言う俺もその1人だったが、自動車免許を手に入れてからは用がなかった、だが、こうなってはダンジョンに潜るしか無いだろう。


「それじゃ、俺は予備校を辞めて来るわ!」


 そう言って予備校を辞めてダンジョンに潜る様になった。


 ◇◆◇◆


 あれから半年、才能が有った様でSランクになった。


 普通はG〜SランクのうちFか良くてEランクの所、俺は余程の才能が有ったのかSランクになった。


 ダンジョンに潜る人には普通、神様の娯楽の為にダンジョンに入るから面白映像を見逃さない為に式神で配信されていた。


 配信先は神様達の作った”だんちゅ〜ぶ”だ。しかし、Sランクになっても視聴者は10人から増えなかった。


 仕方がないのでだんちゅ〜ぶでの人界での収益を貰うのは諦めている。


 但し、収益は貰えなくてもスパチャは貰える。偶に神様達の誰かが気に入ってくれればスキルやアイテムをくれるのだ。


 俺が最初に神様から貰ったスキルがぶっ壊れスキルだったお陰で半年でSランクになれたと言っても良い。


 そのスキルの名は柔軟金属体じゅうなんきんぞくたいだ。


 見た目は変わらないが、ゴムの柔軟性及び特性とチタン合金に似た硬さを兼ね備えた矛盾した様な体になって防御してくれるパッシブスキルだ。


 酸にも強いのでスライム討伐の役に立った。


 ちなみに魔法も使えるが、基本的に魔法に名前は付けていない。


 理由は面倒くさいからだ。


 "お〜い、いつまで惚けているんだ?"

 "そうだぞ!俺達をいつまで待たせるんだ?"

 "早く宝箱の中身を教えろよ〜"

 "自称Sランクなんだから惚けてないで報告しろよ!"


 視聴者が厳しい。宝箱を開けて出たアイテムを見て触った瞬間に何のアイテムかわかるのだが、それは凄すぎて今までの事を思わず思い返していた。


 アイテムは収納の指輪で、時間停止・容量無限・解体・盗難防止・ドロップ自動収納・生き物も入れれるというぶっ壊れ仕様のアイテムだった。


「厳しいな、おい。思わず回想してしまうほど嬉しいアイテムだったよ。何と、収納の指輪だ! しかもドロップ自動収納付き」


 "え! マジで?"

 "収納の指輪ってだけで世界で100個行くか行かないか位のアイテムじゃないか!"

 "凄いな"

 "運使い果たしたんじゃねーの?"

 

「ひでーな! 日頃の行いが良いから神様がくれたんだよ。きっと」


 "それはない!"

 "何ふざけてるんだ?"

 "寝言もいい加減にしろよ"

 "日頃の行いが良いやつはコボルト相手に砂かけて目潰ししたりしない"

 "そういや、スライム相手に洗剤ですぐに倒せるの発見したのってこいつだったっけ?"

 "そうだぞ。しかも視聴者数の多い奴に紹介されて手柄取られたのもこいつだ"

 "システムの裏をかこうする奴を普通は行いの良いやつとは言えない"

 "手柄奪った奴も神様から説教食らって暫くダンジョン出禁になってたので、発見者は誰だとなったな"

 "それで見つからなくてツチノコ扱いされているんだよな"


「君達、俺に恨みでもあるの?」


 "恨みはないけど良いオモチャだと思ってる"

 "そうそう"

 "あきらめろん"

 

「ああ! もう、視聴者の相手してたら探索が進まないわ! もうコメント見ねー!」


 そう言って、探索に戻った。



―――――――――――――――――――――――――――――


 新作です。初めての配信物なのでよろしくお願いします。

 それにしても、半年でSクラスはやりすぎかな?

 いや、新作で爆死した今までの経緯を踏まえるとインパクトがあった方が良いからこのままで行くよ!

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