読者にならなきゃ住所特定(イタズラ)するぞ!
蠱毒成長中
読者にならなきゃ住所特定(イタズラ)するぞ!
「――って、どうかなあ。ハロウィーンシーズンだし」
『どう、って言われても……フツーにクソ以下としか思わないけど』
「なんで?」
『いやなんでって……私の返答で大体察しつくでしょそこは』
「……やっぱ住所特定ってだけだとパンチ弱いか。
じゃあ住所特定、玄関前にゴミ散布、放火でどうよ?」
『余計ダメだわ』
「じゃあ爆破とか?」
『そういうことじゃないから。
まず不特定多数を脅して無理矢理読者にしようって発想をやめなさいよ』
「そうか恐怖心に訴えるのはダメか……
『人間の持つ感情の中で最古かつ最強なのは恐怖心である。恐怖心の中で最強なのは未知への恐怖心である』
って、ラヴクラフトも言ってたからワンチャン行けんじゃねーかと踏んでたんだが」
『ラヴクラフト参考にするのはいいけどなんかもっと別な感じにしなさいよ。
っていうか、要するにラヴクラフトは人間の持つ感情の中で最古最強の未知への恐怖心を刺激するような世界観と描写を心掛けたってことでしょ?
ラヴクラフトは不特定多数を脅迫なんてしてないから』
「それは勿論そうだがそれにしても読者からのリターンが少ねぇんだよ……
病んで荒れるのはもう御免なんだ。
だったら何としてでも読者を増やし、閲覧数や感想を増やすしかねぇだろ」
『そりゃ私もあんたのあんな姿なんてもう二度と見たくないけどさ、
だとしても他に幾らでもやりようはあるでしょうよ』
「何もねえよ。思いつくのは奴らの恐怖心を掻き立て有無を言わさず平伏させるって策だけだ……」
『……そもそもなんだけど、そんな風にして無理矢理従わせただけの読者なんて何人居ても嬉しくなくない?
百万回の愛してるの言葉よりただ一度しっかり抱き締めたほうが愛は伝わるものだって、あんたよく引用してるじゃない』
「嬉しいとか嬉しくねえとかそういう次元じゃねぇんだよ。
幾ら書いても宣伝しても読者は増えねぇし、感想を残すのは一部の慈悲深い身内だけ……
近頃はその身内にすら飽きられて、閲覧数もだだ下がり……
かくなる上は如何なる手を使ってでも売れっ子の人気作品に見せ掛けなきゃ一生涯底辺のままなんだよ……!
そりゃ本音で言えば無理矢理従わせただけの読者なんて嬉しくねえさ。
てめえの作品を好きで居てくれる、心から理解する姿勢を見せてくれるような真のファンが欲しいさ。
だがそういう奴らにてめえの作品見付けて貰おうと思うなら、何よりまず目立ってなきゃいけねぇし、
相応の目に見える結果が伴ってなきゃ、どんな奴らも上辺だけ見て『こんなの大したことない。読む価値ない』つって、リンクをクリックもせずに去ってくだけじゃねーか。
見た感じ派手じゃねーと誰も見向きもされねぇんだよ……!」
『……言いたいことはわかるけど、だとしてももっとまともな宣伝方法とかあるんじゃないの?
そりゃあんたのSNS宣伝は不発だったとしても、なんか読み合い企画やってる奴にコンタクト取るとか』
「ああ、リポストしたユーザの作品読むとかいうアレか。
ダメに決まってんだろ。何度もリポストしたが誰一人読みに来なかった。
あの手のポストしてる奴らは原則ただそうやって他人にてめえのポストを閲覧・拡散させてインプレッション稼いでイーロン・マスかきから金ふんだくろうって考えで動いてる金に目の眩んだ貧乏パチンカスニートだろ。
そんなにパチ代が欲しけりゃ闇金から借りて来い!
そんでパチでスり散らかして保証人共々雑木林で虫のエサんでもなっちまえ!」
『債務者を虫のエサにする闇金なんてそうそういないから……。
でも確かにSNSユーザは信用できないわね。
じゃあ同じプラットフォーム内でやってる読み合い企画に参加してみるのは?』
「それもなんかダメっぽいんだよなぁ〜。
まるで収穫がないワケじゃねーんだが、どうも手応えが薄いつーかさ?
企画元に申請しなきゃいけないヤツだと多分、企画主なんてお高く止まってる高慢チキな厭味ったらしい上流階級気取りだろうし、
そんな奴の企画に申請しようが問答無用で突っぱねられる気しかしねーしよ」
『それはあんたの偏見じゃないかしら』
「いやぁ〜そうでもねぇぞ? 本当、ネットの創作界隈なんててめー何様だよってヤツばっかだからな。
しかも上品に礼儀正しく振る舞ってるように見える奴ほどそういうのが多いんだこれが……逆にパッと見口悪かったりゲテモン趣味だったりする如何にも半グレチックな奴ほど実際話してみると案外対応が丁寧だったり優しかったりするよな」
『だからそれもあんたの経験則準拠の私的見解であって……
まあ、プラットフォーム次第では企画へ申請とかせずに手軽に参加できるのもあるじゃない?
そういうのはダメなの?』
「そうだな〜プラットフォームの機能として特に申請とかなく参加できる奴だといい加減なヤツかてめえの作品にかかりきりのヤツしか居ねぇだろうからそもそも大して数字取れてない奴の作品なんて見向きもされねーだろうしな〜。
一応過去にただ一人だけ企画の一環で感想書いてきたヤツも居たけど、40話近くある連載の高々序盤3話まで読んだだけで一丁前に評価かまして来やがってさー。
序盤3話で40話近い連載作品知った気になってんじゃねーよっつーね?」
『まぁそこは相手にも色々と事情があるわけだから……』
「そうなんだよ〜。個人創作活動者には各々色々事情があるんだよ〜。
だからこそ、創作活動者じゃない大多数の奴らがその辺の事情を考慮してもっと積極的に動くべきなんだよ。
臆さず面倒臭がらず、読んだ作品にはしっかり感想を書く!
プラットフォームのアカウントがねーならアカウントを取る!
そういう他人への気遣いとか思い遣りを意識した行動を心がけるっつーか、
何もない奴らが他人への献身を通して何かある存在になろうとする動きってやっぱ現代には必要不可欠だと思うのよ」
『だったらあんたが手本見せてやればいいんじゃない?
近頃の奴らは自ら積極的に行動しようとせず、誰か他人に乗っかろうとする習性があるわけだからさ……』
「それはそうだが、だからって奴らのそういう悪癖を放置しとくのも決して賢い選択じゃねーし、
こんな民間人一人が行動した所で圧倒的多数派の奴らがそんな動くわけもねぇだろ。
そういう方向で働きかけるんならもっとデカい力の作用が必要だ。
主流派のオタクどもなんてのはとにかく金と女が好きで権力に弱いからな」
『だからあんた言い方……それで、作用すべきでかい力って?』
「決まってんだろ、文科省だよ。
奴らに死ぬ気で新時代の道徳・国語教育カリキュラムを構築させて、
それを元に教育機関が本気で学生どもをしっかり調教するんだ」
『調教ってあんた……』
「あと序でにスマートフォンアプリを悪用した悪質な特殊詐欺で金を稼ぐ犯罪組織も徹底的に潰した方がいいな。ありゃ社会を蝕む癌細胞だよ」
『あんたね、幾ら自分の作品に読者がつかないからってソシャゲ運営を逆恨みするのやめなさいっていつも言ってるでしょ?』
「確かに逆恨みかもしれねぇが、奴らのせいでエンタメやホビー業界のバランスが著しく崩壊したのも事実だ。
他の業種はおろか、尊ぶべき客までも蝕み私腹を肥やし、
そうして結果的に国家そのものをも弱体化させた、そんな奴らを害悪と呼ばずしてなんと呼ぶ!?」
『いやまあ、それはほら、時代の変化とかもあるわけで……』
「なるほど、時代か……じゃあなんだ、時代が変わったなら他人から金を騙し取ったり、間接的に自殺へ追い込んでもいいってのか!?」
『そうは言わないけど、そういう問題って業者だけのせきにんでもなくない?
顧客がコンテンツとの付き合い方を間違えないように心がけるとかさ』
「じゃあその辺ひっくるめて全部文科省の責任だな。
民衆を政府の傀儡に作り変えることばかりに執着して肝心な部分の教育を疎かにしやがって……
そうだ。それもこれも全部文科省のせいだ。奴らのせいで何もかもが……」
『ちょっ!? あんた何やってんの!? そんな大荷物持ってどこ行くつもり!?』
「決まってんだろ、文部科学大臣の自宅だよ。この命を以てことの重大さを思い知らせてやるんだ。
たかが一般企業や障害者施設の入所者が何億人死のうが意に介さない政府の連中でも、身内が実害を被れば黙ってはおれんだろ」
『いややめなよ! そんなことしても何の意味もないし、何より割に合わないじゃん!』
「どうかな。意味があるとかないとか、割に合う合わないとか、そんなのはやる前から断言できることじゃないだろう?」
『それは、そうだけど……だったら小説書いてよ!』
「……なに?」
『だから! 小説を! 書けって言ってんの!
あんたのオリジナルの! まだ連載続いてる奴結構あるでしょ!?』
「ああ、あったなぁそんなのも……」
『あったなぁ、って……あんた文部科学大臣の家攻めた後どうするつもりだったの……?』
「決まってる、そのままクソ文部科学大臣と心中してやるのさ。
どこぞの無能はしくじったようだが、奴の二の轍なんぞ踏むものか……政府の連中に一泡吹かせてやる」
『じゃあ、連載は?』
「打ち切りということになるが、別に殆ど誰も読んどらんし構わんだろう」
『ブックマーク、30件くらいあるけど……』
「ああ、あったな。だがそいつらからは感想も来なければ閲覧数も落ち込んでいる。
粗方飽きてそのまま放置しているのだろうよ。
なら放置したとて何の問題も」
『大有りだよっ!』
「……なに?」
『大有りだって言ってんのよ、問題っ!
だって、そうじゃない……例え飽きて放置してたとしても、感想がつかないとしても、
閲覧数が少しでもあるなら、全員が全員あんたの小説見捨てたなんて言い切れないじゃないっ!
なら……少しでも読者がいるなら、止めずに最後まで連載書き続けて、作者としての責任果たしなさいよっ!』
「……だが」
『だが、じゃないっ!
あんたさっき言ったわよね!?
意味の有無も、割に合う合わないも、やる前から断言できるもんじゃないって!
ならあんたの小説だって、これから読まれるかもしれないじゃない!
これから閲覧数やブックマークが増えて、
感想もどんどんついて、
何なら二次創作やる奴とかも現れるかもしれなくて、
終いにはどっかの、あんたの才能と実力を見抜ける出版業界のデキる奴の目に止まって書籍とかアニメになるかもしれないじゃない!
だったら書きなさいよ……!
文部科学大臣なんてくっだらない奴なんかと心中してないで、小説書きなさいよっ!
どうせ文部科学大臣と心中したって、世の中のボケた奴らはほんのひと時騒いで忘れるだけ……!
まして自分本意で仲間意識なんて欠片もない政府の奴らが、
たかが文部科学大臣の一兆人や百兆人が死んだところで気に留めるわけないじゃないっ……!
ここで終わったら……何もかも無意味になるだけ……
あんたはただ、
無駄に命を散らしたバカな自殺者として地獄に落ちるだけなのよ!?
だから……生きてよっ……
生きて、小説書きとして、もっと面白い作品で
それが今、あんたのすべき事でしょうよっ……!』
「……そう、だな。すまなかった……感情的になり過ぎていたよ。
そうだな……まだ未来は、完全には決まってない。
ファンのためにも、作者としての責任は果たさねばな……
さて、そうと決まれば……執筆開始だ!」
〜〜〜〜〜〜
作者・蠱毒成長中「という感じのハロウィーン短編を考えたんだけど、これウケると思う?」
『デッドリヴェンジ!』主人公・北川ナガレ『ああ、まぁそれなりにウケるんじゃねーの?
この蛇足極まりねークソパートさえなければ、だけどよ』
読者にならなきゃ住所特定(イタズラ)するぞ! 蠱毒成長中 @KDK5109
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