序 稲生氏怪談之由来

 備後三次浅野公之家士、稲生武太夫、幼年平太郎と申候よし。その、勇気、がうけつ成事、諸人にすぐれ、見聞人々、おどろき、あやしまざるは、なかりける。

 ころは、寛延のはじめなりしが、平太郎十六才のとき、七月三旬の間、妖怪に出逢しが、勇気は弥増にして、かりそめにも、おそるゝけしきなし。後には、化物、終に退きしは、まことに稀有なる事どもなり。

(引用 井之丸家所蔵『怪談之由来 併 画』《『稲生部絵巻集成』収録》)

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