カレが好きだから
ももいくれあ
第1話
カレとワタシの間には、大きな大きな溝があった。
それは、決して埋められないほどの大きな大きなものだった。
その隔たりの大きさは、絶望的でさえあったけれど、
不思議と気持ちは穏やかだった。
ふんわりとしたよどみの中で、ずぶずぶとただ足をとられていった。
目の前はわずかに霞んで、ぼんやりしていて、
でも、ちっとも怖くなかった。
手を伸ばせば、そこには
カレがいて、カレがいるようなそんな気がしていて、
そんなふわふわした存在感。
わた菓子のようなあまい、甘い。
でも、現実は甘くはなかった。
それでも、ワタシは満足していた。
そんなカレが存在していることや、
そんなカレに触れたことで、自分自身が変われたことが、
何より嬉しかったから、それだけでもう大丈夫だったのかもね。
それだけ、ワタシは大人になった。
あの頃のワタシとは違っていた。
昔のワタシがこっちをみている。
チラッとみては、笑っている。
カレが好きだから ももいくれあ @Kureamomoi
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