761 眞子の性格が豹変した原因

 ジムさんに預けていた『スティングレイ』の帰還と共にテンションが上がり。

その勢いのままジムさんにお礼の電話を入れたら……なにやらご厚意でレンタルして貰った『スターファイヤー』について、おかしな話をされる事に。


果たして、このベースには、一体なにがあるのか?


***


「いやぁ、実はね。その『GUILD 67 STAR-FIRE4』。かなりイワク付きの商品なんだよ」


はっ、はい?……イワク付きとな?


いやいや、イワク付き処か、このベース。

凄く良い音を出してくれるベースなので、今まで使わせて頂いていても、何の不満も持った事が無いんですけどね。


なのに、なんでこんな話が?



「えぇっと、それは、どういう事ですか?」

「いや。実は鞍馬ちゃんに貸す前に使っていた以前のオーナーも、そうだったんだけどな」

「あぁ、はい」

「なんか、ソイツを使ってるだけで、なにをやっても満足しなくなる上に、日々イライラして、なにもかもがムカツク代物らしいんだよ」

「はっ、はぁ」

「……まぁ、ベース自体は悪いものじゃないから、音は良いし。そう言う『満足出来無い』気持ちになるから、なにかしろの効率が上がるらしいんだけどな。そう言うイワクが付き纏うベースなんよ」


うわっ……ジムさんの話を聞いて思い当たり節が満載だぁ。

いや寧ろ、それって、ここ数カ月の自分の行動を振り返ってみても、モロにベースの呪いの影響を受けてるじゃないですか。


ある意味、効果覿面でしたね。



「えぇっと、それって言うのは、俗に言う『呪いの商品』っと言う奴でしょうか?」

「まぁ解り易く言えば、そう言う言い方になるな。だからね。鞍馬ちゃんが『借りたい』って言った時、正直『どうしようかなぁ』とは思ったんだけどね。……なんか、不意に『鞍馬ちゃんなら大丈夫かなぁ』って思っちゃってね。試すみたいな真似をして悪かったね」

「あぁ、いえ、そこに関しましては、無理に頼んだのは私の方なので、ジムさんは、なにも悪く無いですよ」


本当にジムさんは、ご厚意で貸して下さっただけなんですから、何も悪くないんですよ。

でも、世の中には、本当に、そう言う商品ってあるもんなんだね。


そんで顕著に呪いの効果が出てりゃあ、世話ないね。



「そう言って貰えれば、ありがたいね。まぁまぁ、そんな訳有りな商品なんで、早目に送り返してくれ。ソイツは、あまりにも危険な商品だから、ウチの倉庫にでも放り込んで厳重に保管するからさ」


えっ?……



「あっ、あの……この子、倉庫で保管しちゃうんですか?」

「そうだね」

「じゃあ……もぉこの子は、永遠に表舞台に立つ事もなく、誰にも弾かれる事すらもなくなって、倉庫の中で眠りについちゃうって事ですか?」

「そうなるだろうねぇ。まぁ、そんな危険な物を欲しがる『一部の変わった楽器コレクター』ってのも世の中にはゴロゴロ居るには居るんだけどねぇ。あんまり世間に出して良いものじゃないと思うからなぁ……まぁ残念だけど。ソイツは、お蔵入り決定だな」


う~~~~ん。

物が物なだけに、ジムさんの言われてる事は尤もな話だとは思うんだけど。

こんなに良い音を奏でてくれるベースなのに……このままお蔵入りしちゃうんですかぁ。


なんか、納得出来る様な、納得出来ないような複雑な心境だなぁ。


だったら此処は……無謀を承知で!!



「あの……でしたら、この子を、私に譲ってくれませんか?」

「へっ?はっ、はい?鞍馬ちゃん今なんて言った?」


あからさまに嫌そうな雰囲気が電話越しから伝わってきましたね。

だとしたら、矢張り、このジムさんの反応からして、こう言うイワク付きの商品を人に売るのは嫌なのかな?


まぁ確かに、考えても見たら、ジムさんにとっちゃあ店のイメージに関わる大問題だもんね。



「いえ、あの、ですから、このまま倉庫に眠っちゃうなら、頑張って私が買い取らせて貰おうかなぁって……」

「いや、あの、ちょっと待って鞍馬ちゃん。ちゃんとオイラの話を聞いてた?」

「あっ、はい。話なら、ちゃんと聞いてましたよ」

「なら、なんで、そんな発想に?」

「いえ、折角、こんなに良い音が出るベースなのに『倉庫で眠らせちゃったら可哀想だなぁ』って思って。それに私思うんですけど『満足しない』って言うのも捉え様によっちゃあ『悪い事じゃないのかなぁ』とも思うんですよね」

「まぁ確かに、そう言えば、そうなんだが。実害が出てるんじゃあ、問題だなぁ」

「あぁっと、実は、それも気のせいとか……」

「それ、どういうポジティブ?」


う~~~ん、そう言うんじゃなくて、なんて言うか。

要するに『物珍しさ』+『愛着』が微妙に湧いてしまったと言いますか……もぉこの子を手放したくないと言いますか、自身の手元に置いて置きたいと言いますかぁ。


まぁ……実際は、そんなお金もないし。

そんな譲って貰う権利すらない、ただのご好意でのレンタルで今所持させて貰ってるだけなんですけどね。


それでもお蔵入りするなら……



「いや、なんて言いますか。人の恨みとか、呪いが掛かってたとしても、実際『物には罪はないかなぁ』って……って言うか。ヤッパリ、お蔵入りするのには勿体無過ぎですよ」

「そう言う理由か……じゃあ、尚更ダメだね」

「ダメですかぁ……」

「うん、そう言う気持ちがあるのなら、尚更、ソイツは、君の様な子に譲る訳にはイカナイね。悪いが売る訳にはいかないから、送り返して貰うよ」

「それって……どうしてもダメですか?」

「どうしてもダメです」

「そうですかぁ……」


頑張って交渉はしてみたものの、此処でお別れかぁ……


なんかこのまま、なにも良い事が無いまま『GUILD 67 STAR-FIRE4』は『倉庫に封印』されちゃうんだね。


楽器なのに弾かれないまま、その生涯を終わるなんて。


なんか可哀想。



「まぁ兎に角だ。鞍馬ちゃんには『79 Sting -ray』があるんだから、ソイツの事は忘れてくれ」

「あぁはい。……勿論、ジムさんの物なので我儘は言いませんが。でもですね。もし、売る気になったら、必ず、私に一報下さいね。頑張って、それまでにお金貯めて置きますんで」

「いや……そこまでして、そんなイワク付きの物が欲しいのか?」

「はい。……っと言いますか、いずれ、必ず、この子とは、また縁があると思いますので。その時までは大事に保管して下さいね。それと売る時は、必ず、私に最初の一報下さいね」

「そこまで言うなら、わかった。……だが、取り敢えず、今は一旦返却してくれ。『売る』か『売らない』かの判断もしなきゃならないからな。まずは、その辺を良く考えてみるよ」

「あっ、はい♪是非、お願いします。楽しみにしてますね」

「あっ、あぁ……じゃあ、まぁ、そう言う事なんで……また偶には電話してくれな」

「あぁ、はい。喜んで♪」


……っとまぁ、久しぶりにですね。

なんか妙に元気を分けて貰った感じなんで。

この勢いのまま、スタファちゃんとのお別れが悲しくなる前に……この子を綺麗に梱包しちゃお。


しくしく……(´;ω;`)ブワッ


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


眞子の性格が豹変した原因は……なんと!!

ジムさんにお借りしてた『GUILD 67 STAR-FIRE4』が原因だったんですね(笑)


まぁまぁ【こんなオカルティックな話がリアルで本当にあるのかよ?】なんて思われてしまうかも知れませんが。

その辺に関しましては、キッチリとそう成る理由を書いていきたいと思いますので、此処に関しましては少々お待ちください。

(メッチャ先の話ですけど……)


さてさて、そんな訳で。

眞子の性格の豹変した理由については一段落したのですが。


でも、実際は、そんなに簡単な問題だけではなく、此処に関しては問題が山積み。


何故なら……(笑)


……ってな訳で次回は、その辺の大問題を定義していきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


……そんな調子で、学校生活は大丈夫なのかな?( ̄ー ̄)ニヤリ

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