スーパーへ行こう
そろそろ正午を迎える昼時。彼らはスーパーマーケットに向かう。
この町ではアニメキャラたちが働いている。といっても基本的ボランティアが多い。
作品宣伝のため、ファンを喜ばすため、場合によっては同人活動もある。
ここの世界ではアニメキャラに対して合法だ。相当やばいことしなかったら、問題はない。
もちろん各アニメキャラの能力も許されている。だけど一般人にはそれが能力とは知らされていないのだ。
「はーい、次どうぞ」見た目が少年のキャラがしゃべる。彼は少年漫画のジャンルのようだ。
「これお願いします」
「あーはいはい、かったるいけどやりますよー」
このキャラはカッパラという少年誌の中堅バトル漫画の『我がままの
最近アニメが放送間近ので、コラボとしていろんな場所に働いている。コラボ売り上げは出版社がもらっている。
「あーあ、師匠の知り合いに言われて修行しているがめんどくせーな。だけどやめたくないしなー」
「すいません、働いているときはネガティブ発言をやめておいた方がいいですよ」
「ん? それはそうだけどさ、本当にめんどうだもの。しょうがないだろ?」
彼の言い草に何か言いたかったがとりあえず我慢した。
「てんいんさん、これもおねがいします」かわいいゾウさんが我流にむけて言う。
「予算オーバーだけどオレちゃんのおごりで買ってあげるよ。なんてたって未来の売れっ子アイドルだからなー」得意げに離す
「へっ、へっ。ミルクガム、ミルクガム」ウィンピィは目の前のガムをみて興奮している。
「……めっちゃかったるいぃぃぃぃぃ!!」レジの少年は頭を抱えながら叫んだ。
彼らはスーパーを出て、何でも屋に帰ろうとする。
「それにしてもアニメが働いているなんて未だに違和感だな……。別に悪いことじゃないがまでなれなくて」
「うんうん、わかるよその気持ち。オレちゃんもそうだった。だけどすぐなれるさ」
「そうかな……」
「そういえば話変わるけど公共の場でも、能力は出した方がいいのかな」
「ウィンピィたちのことか? はっきー。別に出したままでもいいんじゃない?」
「でも、何かの拍子で他の人の迷惑になるんじゃないかと思って」
「うーん。それだったら一応しまっておくか。2人はどうだ?」
「うん、いいよ。ぼくねむくなってきたから」
「ボクも人の迷惑になりそうなら喜んで戻るよ。ハッキー、ユウキ」
アニメたちは意見に賛成。彼女はうんうんとうなずきながら、
「そういうことなら能力解除しますか」と能力を解除する。
「ありがとう、一ノ瀬さん」彼も同じことをした。
「はっきー、そんなかしこまないでオレちゃんのことあだ名で呼んでもいいんだぞ? たとえばゆうちゃんとか」
「でも年上ですし……」
「いいんだよ、そういうのは。ほらほら仲良く~」
露出の多い服装の女性は青年に抱きつきながら、からかう。
「やめてください。胸あたってますよ」
「ははは、オレちゃんたち親友だし、そういうのは気にしなくてもいいんだぞ」
「俺は気になるんです」廿月は彼女を離すように距離を置く。
彼女たちを見た男性がいる。
(く、リア充どもめ。さっさと消えろ)と恨んでいた。
廿月たちの近くで、高校生ぐらいの女の子と母親が会話している。
「ねえねえ、ママちん。このあといつものやつ買ってほしいなー」
「はいはい、絵凛ちゃん。あなたの好きなケーキね。いいわよ」
なんとも微笑ましい内容だが、後ろから怪しい男が歩いてくる。
「
突如、男性は
そいつカートゥーンとともに前にいる親子のカバンを高速で奪う。彼はスリだったのだ。
「ふふふ、ちょろいちょろい」というとそのままキャラごとその場から逃げる。
「きゃー! どろぼー!」女の子の母は叫ぶ。だけど、誰も助けてくれない。冷たい人たちばかりだ。
「はっきー! わかっているよな」
「ああ、答えはそれしかないだろ」
2人は盗んだ人を追いかけるように走る。
そのころ霧山さんはトイレ掃除をしていた。
「ふう、あいつらそろそろ帰ってくる頃だな。でも最近ここも治安悪くなっているし、なにか遭ってないといいけど」
彼は
「まぁ、大丈夫だろう。なんたってあいつらは……」
「最強のコンビだからな」
社長がのんきに掃除している同時刻。スリは路地裏で財布の金額を数えていた。
「ひーふーみー。想像していたより多くあるな。とりあえず推しキャラのいる店にはいけるぞ」
彼は気持ち悪い笑顔をしながら、出ようとしていた。
「おいおいおいおい。それは他人が汗水たらして稼いだ大切なお金だぞ? 返してやれよ」
銀髪の青年が軽犯罪者にたいして言葉を吐く。
「悪いことをするやつはオレちゃんたちが許さないぞー」
金髪の女性も続けて言う。
「なんだおまえら」スリ男は質問する。
「俺らはしがないの何でも屋だ。覚えなくてもいいぞ」
「ははは、キャラが薄くて、覚えたくても覚えられんぜ」
「だったら、これはどうだ?」
「
「よーし、わるいやつをこらしめるぞう。ぱおーん!」
「怖いけど勇気をださなきゃ!」
能力を解放する。男は足を後ろに下げる。いまにも逃げ出したい、そういう感情だ。
「こ、こいつら能力者なのか……。俺以外にもいたとは」
「ああ、そうだ。これは俺たちとの秘密な? まぁあんたは忘れやすい人そうだが」
「く、
彼の能力も発動させる。チーターの『イカサマ』が具現化される。
「しゃあない! オレだけの技をつかうしかないな!
すると、イカサマの体がインクのかたまりとなり、スリ男と重なって、目がオッドアイになる。足はチーターのような形をしていた。
「これがオレだけの能力、お前らにはつかえんだろ? それじゃ逃げるぜ~」と男は光よりも速く足で建物の壁を登る。
彼の声はもう聞こえなくなるも、
「はっきー、これってオレちゃんたちにも使えたよな?」
「一応使えるけど、久しぶりだからできるかな……」
「今ははっきーだけでも使ってみない? たしかはっきーの能力って……」
「確かに俺だけでもいけるな。それでは……」
「
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