14話 4月17日 その後
「それで? 言い訳はあるのか」
朝倉から伝言を受け教務室に来たら、30代後半でクマほどの体格を持った
「その言い訳とはどういうことか……」
「とりあえず座れ」
「あ、はい」
視線は俺に向かったままバットは椅子を指したので、黙って座った。これで逃げるのは難しくなったな。
「朝礼サボったのを説明しろ」
「え? そ、それが、うっかりして…」
俺の答えに先生はバットで床をコンコン叩いた。言葉を選び間違えたら命が危ないけど言い訳ではなく本当にうっかりした。
香菜がいじめられ、裕也がそれを傍観していたかも知れないという思いで怒りをこらえられずつい、でも信じる気はいらっしゃいのか険悪な顔は変わりない。
「先生! 自分は入学式の日、先生が言ってくれた言葉を忘れていません」
とは言え、理由は言えないので先生が好きそうな青春のような感じでめくることにした。
「ほぉ~」
お、先生の反応はいい。続けて行こう。
「この高校生活が青春を過ごせる最後の時間だと」
「ふむ……」
「先生の言葉に従って、熱烈な心で青春に向けて一歩を踏み出しました」
「それで?」
「うーん……ただ、見過ごしてばいただけません……かね?」
弁解を作るのは難しいな~
「……」
先生は左手で持っているバットを俺に向けた。
「……へへっ」
妹美羽よごめん。俺、今日死ぬ。死亡日、月17日金曜日。 時間は……大体16時頃で…
パタン!
先生は右手で出席簿を掴んで頭を叩いた。
「いてっ」
音に比べて痛くはなかったけど、とりあえず頭を撫でるふりをした。
「はぁー、どうやら早くも問題児ができたようだ」
「ちょっ、先生。こんなことで問題児って、俺そんな子じゃないんです」
中学生の時とは違って、礼儀正しい生徒として過ごすつもりなのでもうこんな扱いは困る。
「教師生活を長くすれば大体見積もりは出る」
バットで腹をちくちく押された。
「まあいい、無意味に学生生活を送るよりはましだから」
「……理解してくださってありがとうございます」
「だが好きな人を簡単に入れ替わるのは感心しないな」
「はい? それってどういう……」
なぜ俺が朝倉みたいな女癖悪い子になってるんだ?
「相原を情熱的に眺めておいてから告白するのが白木ならね……いや、もしかして初めから狙ったのは白木だったのか?」
「そんなはずないんでしょう!」
とんでもない憶測に叫んで否定した。
「それよりあの日のことはもう忘れてください」
「ではなぜ白木の手首を掴んで連れてた、告白するためだと言ったが」
「いったい誰がそんな虚言を?」
「朝倉が」
あの野郎…
「秋奈とは友達です、屋上に連れて行ったのは聞きたいことがあってで」
「ん? ああ~もしかして会いたい友達って白木だったか」
「えぇ…まあ…」
自己紹介の時、慌てていた俺は抱負で会いたい友達がいてここに来たと言った。
この抱負を聞いて先生は『ん? ここは出会いの場所か』と言って、もう一度笑いの海になってもっと恥ずかしかった。
「友達なら復讐だと思うが、残りとは会ったのか?」
「会った…というか、曖昧ですね……」
秋奈は変わったとしても昔のような感じがするけど、香菜と裕也は…はあ~
「ふむ―、もしかして曖昧っていうのは2人か」
「えっ、それをどうやって?」
「そしてその2人が相原と長瀬で」
「!? それをどうやって!!!」
俺はとても驚いて椅子から立ち上がった。そりゃこの超能力を使ったような話を聞くと……しかし、心の中を覗くことはありえないことで…とすれば! 先生は2人の間に何があったのかを知っていることか!
だってそうだろう、香菜は俺がじっと見つめていたから友達だったと予想できるけど、裕也まで当てるのは…
「先生! もしかして2人に何があったのか…」
「もういい出て行け」
「話してくださいあいつらに一体何が…! え、ちょ、何してるんですか!?」
先生は180くらいの俺を軽く肩に担いで教務室の外に投げ出した。
「ちょ、ちょっと…!」
パン!
「うげぇっ!」
また入ろうとしたが閉まったドアに面相を打ち込んで、痛みに顔を撫でているとドアが開いて先生が見下ろしている…
「立花、頑張れ!」
わけわかんない応援を最後でドアはまた閉まってしまった……はあ?
「な……何で……何で俺だけが知らないのよ―――!!!!!」
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読者の皆さん読んでくださってありがとうございます。⸜(*ˊᵕˋ*)⸝💕✨
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これからもよろしくお願いします。(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)ペコリ♡...*゜
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