第84話 世の中は広いんです

「え~と。この大きいはココに置いていい?」


「あ、それはこちらにお願いします」


 自分は今、あの光の柱に入っていった人達が押し付けていった‥‥‥‥もとい、置いていった『遺品』を『アイテムボックス』から取り出しております。

 

 貴金属なんかは拾った者が所有してもいい。おっさんと同じ説明をされたが、そこは前の世界の感覚が顔を覗く。

 できれば遺族に渡してほしいとお願いすると、なんかびっくりな顔をされた。

 こっちはそういう感覚ないんかな~。

持っていてもいいと言われても、扱いに困るよね。もともと自分のモノじゃないしね。


 ただし、そうなるとギルドとしては、細かく記録をしなくてはならないらしい。

最初は受付の子が一人だったのだが、ガンガン増えていく『遺品』の数に徐々に顔色が悪くなっていき「ちょっと失礼します!」と部屋を飛び出て、再び部屋に戻ってきた時には、クリップボードのような物を持った数人の職員を従えていた。

 部屋に入った瞬間、大量の確認作業に、皆顔色が悪くなる。

 ─────作業お疲れ様で~す。


「リオさん、それは僕が持ちます」


 取り出した大きい鎧のような大きなものは、ウィル君が持って行ってくれた。


「ありがとー。後はコレもだな」


 ズルっと取り出したのは、抜き身で足元に刺さってきた剣。コレの持ち主に関しては、一言文句が言いたい!ちゃんと鞘に入れときなさい。危ないから!


 ‥‥‥‥あの、どうなってるんですか、あれ。また出てきましたよ‥‥‥‥

 ─────何を見ても動揺するなって、長に言われただろ

 ───── だけど、この量おかしくないですか?

 ─────世の中には、まだまだ色んな人がいるんだよ‥‥‥‥


 ヒソヒソ遠巻きに会話をしているようですが、聞こえてるよ。

 彼らが驚愕しているのは、どうやら『アイテムボックス』の量らしい‥‥‥‥。

若い職員は出てくる量にビビっているようだが、さすがベテラン勢。顔色一つ変えない。─────プロだな。

 ここでお肉ちゃん出したらどうなるんだろう?さすがにびっくりするかな?─────やめとこ。大きすぎて部屋から出られなくなっちゃう。


「タグっていうやつは、どこに置こう?」


「─────それらはこちらに」


 ざらっと積まれたタグの山に、一同沈黙が流れました。

 ─────タグの数は冒険者の犠牲数と同じと聞いた。ギルド職員としてはショックだろうな。きっと顔見知りとかいただろうし。


 部屋を見渡すと空だった部屋が、ちょっとした倉庫のようになってしまった。


「─────あの、こちらの指輪なんですが‥‥‥‥」


 受付嬢が見せてくれたのは、一番最初に押し付けられたあの指輪だ。


「もし指輪が見つかった時には、買取させてほしいと捜索願と共に依頼が出ておりまして」


「─────いやいや、いらないし!」


「え、でも‥‥‥‥」


「待っている人がいるなら、ちゃんと渡してあげて」

  

 そう言うと「‥‥‥‥そうですか」といいながらトレイに戻す。


 それに私は冒険者じゃないから、依頼といわれてもねぇ

 

「─────おう、嬢ちゃん。どうじゃ、終わったかの?」


 扉からおっさんが顔を覗かせた。

 おっさんの肩には、あの冠羽のついた鷹が止まってる。

 ピコピコ冠羽を揺らすのは止めてほしい。おっさんの頭と揺れ具合が一緒で笑う。

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