第8話 障害物競争
カサカサと草木をかき分けながら、川を目指して突き進む私。
最初は歩きづらくて辟易してたところに、あ、道を作っちゃえばいいじゃん。と思い付く。さっき山を半壊させたのも事も忘れて「そいっ!」とアンダースローで石を投げてみた。─────結果
「ん~~これは色々アカンかな」
道?は出来た。
ドドーンバリバリバリと環境破壊再来である。
自分が立っている所から真っすぐ溝が続き、それは想定内だったが、その上に右から左から大木が倒れてくる。
ドーンドドーンと遠くで音が続き、砂埃が舞い、葉っぱが舞い、やがて静かになった。ちょっと鳥が騒いでいるぐらいだ。鳥、いるんだ。
遅れてやってきた砂埃の中、腕を組んだまま立ち尽くす自分。
通りやすい道を作るつもりが、障害物競争になってしまった。
せっかく作った?道なので、倒れた木の上から次の木へ移動してみようと飛んだ瞬間、バカーンと踏み台にした木が破裂する。
「うぇ?はっ?えっ!ちょっとッ!」
大木を五本ほど破壊したところで一旦止まって冷静になってみる。
「何?力が強すぎるの?」
意味わかんないわ~と来た道を振り返るが、ちょっとだけ空が開けていた。
「え~とじゃあコレぐらい?まだ強い?こんなもん?まだ強いか~。こう?こうか?」
絶対上手く飛んでやると謎の意地をこじらせながら、ときおり破壊活動をし、道?が終わりを見える頃には、某アニメの登場人物のような動きを手に入れた。─────真似?してないよ~参考にしただけだからッ。
「─────よっと!やればできるじゃん自分」
自分で自分を褒めてあげる。誰もいないからねっ。
地図上を確認すると、元いた所から三分の二くらい進んでいた。ちなみに今度はちゃんと地図は出た。『こ‥こ‥こんな感じでいいっすか‥‥』とカーソルがフルフルしていたが、そこはスルーした。
「さてと‥‥‥‥なんか食べるものないかな」
見渡すが、木には果実一つなく青々している樹々が広がるばかり。期待できないか~と視線を落とすと
目の前を二足歩行のマツタケが、ほっほっほっほっとジョギングスピードで横切っていく。
「─────は?」
元の世界ではあり得ない光景に呆然としていると、二足歩行のキノコは、茂みをよっよっとおっさん臭いしぐさで跨ぎながら奥に消えていった。
─────え?ここのキノコ移動するの?
唖然とキノコが消えた所を見ていると、さらに、ほほいっほほいっほほいっとスキップしてくるキノコが通過していく。はっと我に返り『鑑定』してみようとするが、自分も学習したのだ。
「小さく、簡潔に『鑑定』」
ええぇぇそんなぁ~っとばかりに小さめの画面が出現した。ただし文字は画面ビッチビチに表示され『キノコ』のコの字が半分欠けている始末。
またしてもでたポンコツ機能に盛大にため息が出ると、画面がアレ?違ったっすか?
とばかりに、こう?こうかな?これでどう?と文字が切り替わる。
最終的にこれでどうだ、と言わんばかりの表示が
『歩行キノコっす まあまあ足が速いからなかなか手に入らないっす 毒性はないから食べられるっすよ 日本産の松茸ってところっすね』
光速で捕まえに行った。
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