第七話 かぐや姫の生まれ変わりは誰かしら

 夢乃神姫は、最近よく夢でうなされることがあった。

この前の白日夢のような女神をよく夢の中で見た。

ヒメは、やっぱり夢だったのかと都合の良い解釈を選ぶことにしたが・・・・・・。


 けれども、夢と現実には大きな違いがある。

睡眠中に見る夢と、気絶状態で意識が離脱している状態では、別次元で比較出来ない。



「ヒメちゃん、おはよう。昨日もうなされたの?」

「そうなんだ。変な夢ばかり見るんだよ」


「ヒメちゃん、どんな夢なの」

「大昔で、宮中にいる夢なんだよ」


「ヒメちゃん、凄いじゃない」

「夢の中で、みかどに追いかけられて目を覚ますんだよ」


「変よね。ヒメちゃん男なのに帝に追いかけられるの」

「ただ、前世が同じ性とは限らないんだ」


「異性間転生も聞くけどね」

「真夏は、さすがだね」


「じゃあ、分かったら、あとで真夏に教えてね」

「分かった。そうする」



 ヒメは、最近を振り返り首を傾げた。

何かが起きている気がしてならない。

もやもやとした何かが、霧状に霧散するような嫌な感じだ。


 ヒメは学園の近くの大きな書店に寄ってみた。

滅多に寄らないヒメは店員に本の場所を尋ねた。


「三日月未来のかぐや姫は帰らない!を探しているんですが」


「その本なら、この先の左奥積んであります」

「ありがとうございます」


 紫色のジャケットの単行本だった。

表紙にはかぐや姫と従者のイラストが書かれている。


ヒメはヒントを探していた。



昼間夕子がヒメに声を掛けた。

「夢乃じゃないか」

「あっ、昼間先生」


「探し物か」

「三日月未来先生の本を探していました」


「三日月未来か。

ーー 先生も良いと思うぞ」

夕子は男口調で話す癖があった。


「で、見つかったのか」

「はい、これです」


「この表紙、先生も気に入っている」

「三日月先生の本って、

ーー 惹かれるイラストですよね」


「夢乃もそう思うか。

ーー 先生も以前からそう思っていた」


 夕子は、会話のバランスが危うい感じがして話題を変えた。

「夢乃、お茶しようか」


「昼間先生、実は、相談があって」

「じゃあ、お茶しながら聞こう」




 夢乃は、夕子に、光の世界のことや女神のことを話した。

「それは、幽体離脱かも知れないな。

ーー 普通は、臨死体験などで遭遇すると聞くが」

「先生、あの時は、気絶していました」


「そうか、それでも、女神は珍しいし聞かないな。

ーー 普通なら、女神を見ることなどないからな」

「そうなんですか・・・・・・」


「先生、最近、その女神がよく夢に現れるんですが」

「なるほどーー」


「それ、霊界からのメッセージかもしれない」

「メッセージですか・・・・・・」


「何か心あたりは、あるのかな」

「いいえ、ありませんが、あの時ーー」


「金色の癒やしの光に包まれた記憶が残っています」

「宇宙意識という現象に似ているな。

ーー ともかく、臨死体験者でも光の世界に行って戻る者は少ないと聞くからな。

ーー これから先の人生で良いことがあるかもしれないと、先生は思うぞ」


「先生、ありがとうございます」


 昼間夕子こと作家三日月未来は、夢乃神姫ゆめのしんきとのお茶を終え、近くの神社に参拝することにした。

夢乃は、学園に忘れ物を取りに行くと言って途中で分かれた。


「かぐや姫の生まれ変わりは誰かしら・・・・・・」

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