メルトアイネ
夢限
第01章 初めてのVRMMORPG
第1話 初めてのVRMMORPG
世界で初めてのVRMMORPGが発売されてから6年、2xxx年新作VRMMORPGが発売された。
「さて、始めるかな」
やや緊張しつつソフトを設置している男が1人。
男の名は
まぁ、ぶっちゃけ俺だ。
どうして緊張しているのかというと、もちろん初めてやるゲームだからというものもあるが、一番の理由はVRゲームはおろかオンラインゲーム自体が初めてだからだ。昔からMMORPGにも興味はあったんだが、なんというか手が出せなかった。それというのもああいうオンラインゲームって会話が特殊なんだよな。以前動画がアップされてて見たことがあるんだが、見ていてさっぱり意味が分からなかった。
それは6年前に発売された世界初のVRMMORPGでも同じで、聞いた話だと早い段階でやめていったプレイヤーのほとんどがオンラインゲーム初心者だったということだ。その噂を聞いたことや当時はまだ高校生で購入できなかったというのもあり結局やらなかった。
そんな俺がなぜこのゲームをやろうと思ったかというと、このゲームはコンセプトの1つとして”だれでも楽しめるゲーム”のために、ルールとしてオンラインゲーム特有の言語使用禁止というものがある。もしこれを破った場合、一定時間最大HPの低下や経験値を得られないといったペナルティが課せらえれるらしい。これはあらゆるところで謳われているためにだれも苦情は言わないだろう。
また、このゲームの特徴としてリアルであり五感を再現したフルダイブタイプというものがある。これはまぁおいおいというわけで、さっそくセットして起動してみる。
「ヘッドセットを装着してください」
ハードを起動したところでそんな声がスピーカーから流れてきたので、少し緊張しながらもヘッドセットを装着した。このヘッドセットはゴーグルタイプではなくヘルメットタイプで、これにより5感を感じるようになるらしい。(細かい技術はさっぱりなのでそういうものだと思ってほしい)
ゲームが起動すると目の前が突然真っ白に、どうなったのかと思ったら今度はパッケージに描かれていた女神様が出現した。
「ようこそ、メニスリアへ」
女神さまがゲーム名を言いながら歓迎してくれた。この名前の由来は巨大を表現する接頭語の”メガ”、何でもありを意味する”anything”、現実の”リアル”の3つを無理やり合わせたものとなっている。
「ではまずはお身体を決めて下さい」
ここからキャラ設定が始まるわけだが、俺はもとの体から大きな変更をしなかった。といってもやはりあこがれとして筋肉は大目につけたけどね。
余談だけどこのゲームはリアルを追及しているために性別の変更はできないことになっている。しかし、世の中には心と体の性別があっていない人というものがいる。そういう人のために事前に運営側に性転換申請というものを行うことで性別を変更することができるようになるらしい。
「それでは、お楽しみください」
キャラ設定や様々な説明ののち女神さまによって送り出された。ちなみにキャラ名としては、エリベルトという名にした。これは特に意味のあるものではなく単にネットで見つけた名前生成のページでポチポチと何度か生成した名前の中から適当に選んだものだ。
「へぇ、ここがメニスリアか、ほんとにリアルだなぁ」
ここは仮想世界で俺自身は自分の部屋で椅子に座りヘッドセットをつけているというのに、今俺は明らかに大地に立っている不思議な感じだ。
「さて、まずは何をするかな」
このゲームにはチュートリアル的なものもなくいきなり放り出される。一応クエスト的なものはあるらしく、通常はそのクエストをやるらしいが、別にこれはやらなくても全く問題ないらしい。
「よぉ、お前何する?」
「とりあえず、クエストでも探そうぜ」
「そうすっか」
隣では同時に開始したであろう2人組がそんな会話をしている。それを聞いていて俺も何か適当に探してみようかなと思う。
「うーん、それにしてもこの腰にあるもんに慣れねぇな」
こしにあるものとは、当然だが剣、この世界は剣と魔法のファンタジーであり、魔物がひしめく世界でもある。つまりこうして帯剣することは当たり前の世界なんだよな。でも剣の重さとか感覚とかもリアルに表現されているから、妙な感覚だ。
「でも、いきなりクエストやるより、まずは一回戦闘でもしてみるかな」
というわけで、さっそく街の外へと向かっていった。
そして……当然ながら敗北したのだった。
「や、やべぇ、まじやばい」
街の外で出くわした魔物と戦ってみたが、そもそもこのゲームある程度は補正されるとはいえ全くの素人がいきなり戦えるほど甘くないようで、あっさりと殺されてしまった。
そして、最初の場所に市に戻ってしまったわけだが、これは俺がどこにも拠点を持っていないからで、もし拠点を作って設定するとそこに戻ることになっている。
「ちゃんと訓練してからの方がいいな。まさか、スライムにやられるとは思はなかったし」
ため息をこぼしながら、とりあえずちゃんと訓練をしようと思い訓練場へと向かったのだった。
訓練場につくと、そこにはすでに数人が訓練を受けているわけだが、その中で特に必死に受けている連中はおそらく俺と同じく外に出ていきなりやられた口だろう。
そう思いながらも俺もまた教官役のNPCに声をかけて訓練を受けることにした。ちなみに訓練は購入特典として1週間無料券というものがもらえるので、今回はそれを使用することにした。
そうして1週間、みっちりと戦闘訓練を受けたところで、再び街の外へと繰り出しリベンジを行ったわけだが、レベル自体は変わっていないのに結構簡単にリベンジを果たせた。ほんとあの時の俺なんだったんだろうな。
そう思いつつも幾度となく魔物と戦い、何とか勝ち続けてレベルも上げることに成功したのだった。この時点での俺はどこにでもいる普通の初心者プレイヤーであったのは言うまでもないだろう。
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