第26話 服装特番2・雨具紹介
私服紹介とスポンサーの衣装の紹介が終わり、次のコーナーへ。
「ここからはスタジオを移動して梅雨に役立つ雨具を紹介していきますわー!」
「ドンドンパフパフー!」
古臭ぇノリやめろ。宴会の時だけはしゃぐオッサンかよ。
スタジオ移動。と言ってもカメラが横に90度くらい回転して、同じスタジオ内で映す場所を変更しただけだ。そこは透明なビニールシートで包まれていた。なんだ? シャンパンファイトでもするのか?
「ここで雨具がどれだけ水に強いか実験的なことをしたいと思いますわ」
なんだろ? お天気会社だし、雨でも降らす機械があるのかな?
「まるで雪国ですねぇ」
どこがだよ。
「それではさっそく紹介していきますわ。まずは定番、レインコートですわー」
「エー、レインコートデスカァ? そんなの美女の私にはださくて着れないデスヨー」
うさん臭い通販番組の導入みたいなのやめろ!
「そんな風華ちゃんのような方にオススメなものがありますわ。従来のオーソドックスな透明のレインコートではなく、オシャレな柄物があるのですわー!」
「ナ、ナンダッテー!」
棒読みやめろ。お前はアニメ映画のゲスト声優かよ。
スタッフが台車を運んできた。その上にはチェック柄だったり、花柄だったりとオシャレなレインコートが並んでいた。
ふーん、いいじゃん。レインコートも色々と進化してんだなー。ま、買わないけどな!
「オシャレなのはいいけれど本当に雨を弾くの? と、思われた方も居ますわよね。ですのでちょっと実験してみますの。風華ちゃん、好きなレインコートを着てくださいな」
「どの薄皮にしようかなー」
何が薄皮だ。レインコートはギョーザじゃねぇんだよ。
乃和木は無駄にフェイントを掛けて進行を妨害しつつ、アニマル柄のものを着用した。
「どうですか? かわいいですか?」
見た目はいいから似合っている。喋らなければなぁ。そうだ、コイツの音声切っとけよ。
「さすが風華ちゃん、カワイイですわ。それでは今からスタッフさんが水を掛けるので準備してくださいな」
「了解です!」
靴と靴下を脱いでファイティングポーズをとっている。ワンパンで死にそう。
そして雨を降らせる、と思いきや、スタッフがバケツに入れた水を乃和木にぶっかけた。
雑すぎんだろ! もっとハイテクな機材や施設はなかったのかよ! 嫌いじゃないけどさ!
「ぷはっ! 凄いです! ダメージ0です! 無敵のチート装備です!」
帰れゲーム脳。ダメージ0ではないだろ、ちょっと髪濡れてるぞ。
「実験成功ですわね。中のお洋服も濡れていませんわー!」
ビッキーがパチパチパチ、と手を叩いている。かわいい。
「さて、レインコートはかさ張る、または、やはりファッション的にちょっと、と、抵抗がある方はレインスカートなんてものもありますわ。腰に巻くだけで簡単に使えますのよ」
「防御力は半減しますけどね」
防御力なんていらねぇんだよ!
「続いて紹介するのはレインシューズカバーですわ。雨だと靴への雨水や泥跳ねが気になりますわよね。そんな時に使えるのがこのレインシューズカバーですわ。使い方は簡単、靴の上から被せるだけですの。滑り止めも付いていますから滑る心配もないですわ」
「これで氷のステージも楽々クリアですね」
氷のステージってどこだよ。北極かよ。お前だけマンモスと一緒に氷漬けになっとけよ。
「それではこちらも実験してみますわ。風華ちゃんお願いしますわ」
「らじゃー! 放水開始!」
消防車かよ。お前を消火してもらえよ。
乃和木が持ってきたのはバケツではなく、ジョーロだった。それを傾けてカバーを掛けた足先に水を浴びせている。
ギャハハ! お遊戯会かよ! バカみてぇ! でもちょっと好き。
「実験成功です! 中の靴は濡れてません! ただクリティカル攻撃には耐えられそうもないですけどね」
誰かコイツをコピー機にでも挟んで二次元に送ってやれ!
「さてさて、次の紹介へと行きますわよ。服や靴が守れても、結局手荷物が濡れては意味がなくなりますわよね。そんな時は防水バッグですわ。ポリエステル製で雨を弾いてくれますの。底板つきで立てられるのも嬉しいですわ」
ビッキーがバッグを肩に掛けてカワイイポーズをとっている。何を持たせてもモデルみたいで華があるなぁ。
「これはいいアイテムバッグですねぇ。容量+50ってとこですか」
うんうん、そろそろアイテム整理しても入りきらなくなってたから助かっちゃう! じゃねぇんだよ! ゲームから離れろ!
「それでは最後の紹介に行きますわ。雨の日って暗くてどうしても視界が悪くなりますわよね。傘を差していればなおのことですわ。さらに雨音で周囲の音も聞こえにくくなりますし、自転車や自動車と接触しては大変ですわ。そうならないようにオススメするのはこちらの光る傘ですの。LED搭載で傘をほんのり明るく照らしてくれるのですわ。これでお子様も安心ですのよ」
「光属性武器ですか……水には木属性がよかったですね」
武器じゃねぇし、相性なんてどうでもいいわ!
「以上になりますわー! 皆さん参考にして安心安全に楽しく梅雨を過ごして欲しいですわー!」
「全部あれば水中ステージも安心ですね」
水中ステージってどこだよ! これ全部身に付けても水中なんて窒息死するわ!
「あと、火属性の方は気をつけた方がいいですね。属性値が半減しますよ」
炎上芸人のお前は特にな!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。