カーストトップから転落したら、陰キャ女子達と仲良くなれた
aaa168(スリーエー)
始まりのマシュマロ
「でも、楽しみだね」
クラスカーストのトップ。
学園生活においての勝ち組を意味する立ち位置。
中肉中背、スポーツも勉学も平凡そのもの。
目立った特徴は茶髪ということだけ。
そんな自分――“
でも、俺は知らない。
もちろん、知りたくなかったことだけれど。
「陽、お前は別のとこ行けよ」
その位置から転落した時に、どうなってしまうのか。
☆
数分前
☆
「お前ら到着したぞ~早く降りろ」
夏休みが終わり、九月の中旬。
一年の秋――夏休みを終えて少し経ったその日の事。
正午までの校外学習を終えて、バスで三十分程。今目的地に着いたところだ。
ご褒美とも言える、昼食のバーベキュー。
俺達の通う学校は中々にイベント事が多いらしい。
受験前。
中学の友達は、高校説明会でウチの事をそう言っていた。
「翔馬、着いたよ」
「ぁあ? ねみーんだけど」
「いや、早く降りないと」
眠っている彼を起こす。
『佐藤
クラスの中心人物。
高身長かつ、筋肉質……元野球部らしく、スキンヘッドがイカツい。
声も大きく、とにかく威圧感がある彼。
さっきのハイキングと写生の時はひたすらにダルそうだった。
「っせーんだよ、陽の癖に口答えすんのか?」
「そういうわけじゃ……」
「またやってる。もう置いてくよ~美咲も早く早く〜」
『
金髪のウェーブ、モデルをやっている彼女。
優れた見た目にサバサバとした性格。
彼女が俺の変わりにそう声を掛ければ――
「! ああ悪い真由。行く行く――どけ」
「っと……」
すぐに目を覚ます彼。
そのまま、横の俺の肩にぶつかりながら降りていく。
「わっ大丈夫!? 陽君」
「平気だよ本道さん。肩パンって挨拶だから」
「あははっ、何それ」
声を掛けてくれたのは『
黒髪ショートのバレー部のエース。
美人というよりは可愛い系。
優しくて男女誰にでも分け隔てなく接して、男子の人気で言えばトップ。
ひりつく肩を摩りながら、彼女に笑ってそう言った。
「ふん、お前は何しても平気だな」
後ろから声を掛けてきたのは――『
黒の長髪に端正な顔付き。大企業の息子らしくとんでもないお金持ち。
兄はうちの生徒会長だ。性格は少しキツイけど、翔馬と幼馴染みらしく仲が良い。
「そんな訳ないじゃん。 実はさっきので怪我とか――」
「ちょっ。大丈夫だから」
肩に触れる美咲の手。
こうして、ボディタッチが多いのも美咲の男子人気が高い理由の一つ……だろうけど。
「軽々しく男に触るな美咲! ……朝日、お前もさっさと離れろ!」
「そんな言わなくて良いのに」
「ご、ごめん泰斗」
泰斗の強い声と視線が刺さる。
慌てて離れる――そしてそのまま、バスから降りた。
「ああかったりぃ」
「時間の無駄だな、全く」
「ショボい場所だよね~美咲ぃ」
「ちょっと真由……ま、夏休みの時に比べたら微妙だけどさ」
『佐藤翔馬』。
『大河原泰斗』。
『白菊真由』。
『本道美咲』。
クラスの中心のその四人。
その、スクールカースト最上位のグループに俺は入っている。
4月から夏休みを超えて――今も。
「でも、楽しみだね」
キャンプ場の景色。
自然広がる景色を前にそう呟く。
きっとこの状況が、ずっと続くと思っていた。
☆
「――じゃ、お前ら大体四人組になれ! 別れたら食材取りに来いよ~」
▲作者あとがき
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