第15話 ダンジョン攻略
『あ、うん。い、そろそろ行こうか』
恥ずかしくて一気に立ち上がりイリナから少し離れた。
『シド……』
((何ー!!!あの可愛い照れ顔!!めっちゃ好きーー!!はー本当にシドくん優しい♡。本当はあの程度じゃ血なんて吸う必要ないけどシドくんに触れたくてしたて言っても怒らなそう。はー♡ 好きー))
『い、イリナ、次はどうしようか』
イリナの顔を見るのが恥ずかしいから通路の奥を眺めながら言った。
『んーそ、そうね、あっちかな』
イリナが僕の肩を叩いてきた。
(ちゅ♡)
後ろを振り向こうと首を動かしたらイリナの顔が目の前にあり、そのままの勢いで僕の唇がイリナのに当たった。
『あ、ごめん』
『いいよ、シドなら何回でも……あ、あとあっちに魔物がまた2体いるね』
『あ、うんじゃ行こうか』
魔物はさっき見たけど怖い。でも、やらなくちゃいけない。
僕はイリナの言った方向に歩き出そうとした。
『シド、その前に魔物の処理しよ』
イリナが僕を引き留めた。
『え……あ』
そうだ、ゲームだと魔物を倒したらそのまま死体はすぐに消えて素材になったけど倒した魔物は未だに死体が残っている。
『シド、見ててね』
そうイリナは言いながら魔物の死体に手をつ込んだ。
『中にある魔石を取ったら。いいの、そしたら死体は灰になっておしまい』
(ぬちゃ、ぽ、シューーー)
イリナが紫色のクリスタルを取ると魔物は灰になって消えた。
『わかった? シド?』
『あ、うん』
『じゃ、行こ♡』
イリナは僕の手を取って歩き始めた。
(がギギギギギ)
魔物が出てきた。
今度は黒いウサギだ。目は赤く頭には角がある。
『イリナ!僕は右の魔物をやる、イリナは左のを』
さっきみたいな失敗はしたくない。
僕は迷わず剣を振りかぶった。
(スパ)
また綺麗に魔物を切れた。
『シド、早く』
イリナの方を見ると、イリナが魔物を両手で掴んでいる。
(がしゅ!がしゅ!がしゅ!)
魔物がイリナに噛みつこうと必死に暴れている。
『とりゃー!!』
『わ!』
(スパ)
僕はイリナの持っている魔物を切った。
『や、た』
『すごいよ!シド!!』
イリナが押し倒しながら言った。
『初めてなのに
すごい笑顔でイリナが褒めてくる。
『あ、うん』
すごく照れくさい
その後は倒した魔物から魔石を取って、イリナのスキルで出口まで行き外に出た。
……ダンジョンの外……
外に出るとまだ日が登っていた。
『シド、出たみたいだね』
『ああ、じゃ、私が手に入れた魔石ギルドで換金するから先に宿で待ってて』
僕が持っていた魔石を取ってイリナがそう提案してくる。
『いや、僕もいくよ』
イリナは太陽が苦手なんだ、そんな子に荷物を持たせて外を歩き回らすわけにはいかない。
『え、でも』
『いいから。一緒にいこ』
さっきは無様な姿を見せてしまったし。今からはカッコよくいこう。
……ギルド……
『いらしゃいませー』
建物の中に入るとアヤさんが元気よく挨拶してくれた。
『こんにちわ、アヤさん』
『こんにちわ、シド!さん?』
アヤさんはこっちを向くと驚いたように返してきた。
『し、シドさん、このじょ、女性は?!』
どうやらイリナに驚いているらしい。
『お前、誰?、シドの何?』
イリナがドスの効いた声でアヤを睨みながら言った。
やばそうだ。
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