第6話 大人のキス

『あ、行っちゃった』

(泣かしてしまった。…………けど!なんなんだよ人助けの何が悪いんだ)

アナが怒る理由がわからない。


『ふーやっと邪魔者も消えたわ。さ!シドくん?あ、有馬くん?』


『いや、シドでいいよ。有馬て呼ばれるのはそんな好きじゃないだ』

(シドの方がかっこいいからね)


『そうなのね。わかったわシドくん。そうだ何かわたしにしてほしいことある?』

((よーし。あの真面目クソ女神も消えたし。これでシドくんは私のもの。これからいっぱいシドくんと仲良くできる。どんな事でも聞いていいからね。シドくん。あ、大人なことでもいいよ。お姉ちゃん頑張るね))

なんかアナが消えてルミナスはご機嫌がいいようだ。



『いや、あ、あのここから出てダンジョンの外に出たいんですけど。帰り方とかわかりますか?』


『え?あ、そんなことか。なんだ。そうすぐは来ないか』

((そうよね。そんな単純じゃないよねシドくんは。やっぱり他の蛮族どもと違って性欲お化けではないか。ますます好きになっちゃう))




(なんかルミナスさんから返事がない。聞こえなかったかな?)

『あの?ルミナスさん?僕ダンジョンから出たいんですけど。出かたとか知ってます?』


『あ!ああ、ダンジョンの出かたね。教えるわ。ごめんねちょっと考え事してたの』


『そうですか。ありがとうございます』


『ダンジョンを出るのはとても単純よ。ダンジョンの一階層には出口が一箇所だけあるの。ま、そこの場所は知ってるから案内するわ。ただその、今私たちがいるのがダンジョン12階層なの。1階層まで行くにはそれなりに強くないといけないの。シドくん今のレベルは?』


『え?レベルですか?確か。レベル2です』

(レベル2て、絶対足りないよね。大丈夫かな?)


『え?レ、レベル2???!』

ルミナスの顔から血の気が消えた。


『出れませんか?』


『え、ええいくら強化スキルを積んでも魔物に出会えば勝てないわ』

(はっきり言うんだな。てか魔物て、なんだ?まあ、ゲームでよくあるやつだろうな)



『あ!そうだわ!魔物に合わなきゃ良いのよ!』

『え?』

急にルミナスが大声出したので僕は驚いた。


(魔物に会わない?ダンジョンなら魔物に絶対会うようになってるだろ)

『どういうことですか?』


『簡単よ、さっきシドくんに創造者のスキルあげたでしょ。それで、一部を除いて絶対に魔物に会わないスキル<不知者>をつけましょう』


『不知者、てどうやって付けるんですか』


『そうね、ステータスを開いてHT、生命力を見てみて』


『ステータス開示』

僕はステータスを開いた。目の前にステータスが表示される。


レベル2

職業:英雄

スキル:女神の加護・英雄の心・創造者(HT:0)

攻撃値:40

防御値:40

俊敏:40

器用:40

知性:40

魔力:40


『開けました。HT?はゼロです』


『そうよね、んー、どうしようかな』

ルミナスは少し考えた。



『じゃ、キスしよっか』

『え?』

突然のことで驚いた。


『だからキスよ、言ったでしょ、HTを増やすには人間の三大欲求を満たすことよ。睡眠、食事はここではできない。残るは性欲、簡単でしょ』

話ながらルミナスはどんどん僕の顔の方に近づいてくる。


『えいや、で、でも』


『お姉ちゃんじゃいや?』

舌をちょっと出したして唇を潤わせる。

(変な雰囲気だ)


『え、いや、その』

なんか緊張して口がプルプルしてしまう。



『……そっか、私じゃダメか、そうよね。別のを考えましょ』

そう言ってルミナスはクルと僕に背中を向ける。

と同時に唇の震えも消えた。少し残念なような楽なような変な感じだ。





(ちゅ♡)

ルミナスが急に振り返ってそのままキスしてきた。

彼女の舌が歯に当たる感覚がする。


キスしながら真っ直ぐ僕を見てくる。

胸の奥が熱い。

(にゅ)

口が緩んだ瞬間にゅると彼女の舌が入ってくる。

(ポワポワする)

体の力が抜けてく。





『ん♡』

彼女が僕の唇から離れた。

(たらー)

僕と彼女の唾液が糸を引いて出てくる。


『どう?』

彼女はそう小声で言いながら伸びる唾液を拭き取った。


(ガク)

骨がなくなったみたいに膝から倒れそうになる。


(ガシ)

『やりすぎちゃったかな?……シドこれが大人のキスよ』

倒れそうな僕をしっかりと抱きしめてそう耳元で囁いた。



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