第3話
こうして、今集まれる人は揃ったので、フラン研究所へ向かいだしました。フラン研究所は山奥にあるので、向かうのも一苦労だそうです。歩き始めは皆さん元気だったのですが、途中からは会話が明らかに減るほどには疲れていました。
なので、歩き始めてすぐのことなのですが、フランソワさんとこんなことを話しました。
一織「フランソワさんとオカルト研究会の皆さんって、どういう関係なんですか?」
フラン「あの人たち、アタシの大学の先輩なの。私は誘うつもりなかったんだけど、カンナがうるさくて…」
カンナ「なになにー?アタシの話してんの?」
フラン「そう。アンタが先輩たち誘ったって話。なんで?」
カンナ「そんなの、いかにもな怪しい話があるんだから、誘ってもいいでしょ?あんなにオカルトな話題に興味持つ人なんてそんなにいないよ?」
カンナさんの発言に、私は納得しました。今回の調査は、いわば都市伝説の調査です。信じる人なんて少ないでしょうし、オカルト研究会というところに呼びかけるのは理にかなっているでしょう。
フラン「それならそれでいいか。人が多い方が調査も捗るだろうし。でも、あの人たちに頼るの、なんか不安だなぁ」
純「そこはご心配なく。何のために我々がいるとお思いで?」
「たしかに、そうですね。よろしくお願いしますね、水無月さん」
純「フッ、この名探偵、水無月 純にお任せあれ」
一織「あなた探偵じゃなくてウェブライターですよね?」
純「本物の探偵に言われたら困るな。ふざけられなさそう」
この人、調査依頼を引き受けておきながらこの態度ですか。いい歳した大人なんですから、正直もっとしっかりしてほしいんですけどね。
そうしていると、めいさんがこんなことを言い始めました。
めい「ねえ、だれかついてきてない?」
他の人たちは、何を言っているのか分からずに、彼女の発言がおかしいと心から思ったはずです。誰も同意しなかったのですから。
このことは一旦なかったことになりました。私より前を歩いていたオカルト研究会の人たちが「何が『だれかついてきてない?』だ、ふざけてんのか!」「ふざけてないよー。ほんとーにいたはずだもん」「二人とも落ち着いて」と論争になりかけていましたが、何事も起こらなかったので良かったです。
そして、フランソワさんにこんなことを聞きました。
一織「フランソワさんのお父さんって、どんな方だったんですか?」
フラン「パパは…研究熱心だったな。いつも研究所にいて、家に帰ってくることなんてあまりなかったもん」
一織「……もしや、フランソワさんって、あまりお父さんのこと好きじゃないんですか?」
フラン「好きじゃないも何も、大嫌いよあんなやつ。頭の中にあることといえば研究のことばっかり。アタシたち家族なんて相手にされなかったわよ」
一織「そうですか…」
フラン「一織ちゃんは、どうしてそんなことを聞いてきたの?」
一織「研究所の名前の『フラン』っていうのが、フランソワさんの名前なのかと気になって…」
フラン「きっとそうでしょうね」
一織「じゃあ、お父さんはフランソワさんのことを大切に思っていたのでは…」
フラン「それは無いわ。そもそも研究所が建てられたのは、私が小学校に入るよりも前なのよ?適当に名前いれて、子供が大好きな良い親を演出しただけ。ただの子供だましよ」
一織「そんな言い方は…」
カンナ「諦めたほうがいいよ、一織ちゃん。フラン、一回スイッチ入ったら、しばらくこんな感じだから」
オカルト研究会の人たちとか純さんとかが明らかな危険人物なので想像もしませんでしたが、どうやら依頼主のフランソワさんも大概危険なようです。
カンナ「ねえ、はーくん。アタシ、怖くなっちゃった」
葉月「安心して。カンナのことは俺が守ってみせるよ」
カンナ「はーくん♡」
この人たちがたちは、別に危ないわけではなさそうですが、ここまでイチャイチャしてるところを見せつけられると、虚しさが込み上げてきますね。カンナさんに至っては、フランさんに冷静な評価をしてからイチャイチャしやがってますよ。キレそう。
ん?待てよ?もしかして、今回の集まりで一番まともなのって、私?だったら、もっとしっかりしないとですね!なんて言ったって、本物の探偵ですから!
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