第270話 両グループの戦い
※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。
『グループA、日本の最終戦。相手のスウェーデンは此処まで勝ち点1と今ひとつ調子が上がりませんが本調子となってしまった時は怖い相手と言えるでしょう』
『此処で負ければ2位アメリカの結果次第で首位突破が出来なくなる可能性ありますからね、引き分けでも良いとはいえやはり勝ちに行ってほしいです』
フィールドへと現れる日本とスウェーデンの両選手。
ダークネイビーのユニフォームの日本、GKは黄緑。
黄色を基調としたユニフォームのスウェーデン、GKはグレー。
Uー19日本代表 フォーメーション 3ー5ー2
照皇 室
10 9
歳児 三津谷 辰羅川
11 8 16
仙道(政) 八神
14 5
青山 神明寺 仙道(佐)
15 6 4
藤堂
1
Uー19スウェーデン代表 フォーメーション 4ー4ー2
ベネディクト ステン
11 9
ラーシュ ミカエル バルトサール クヌート
6 10 8 7
ヨーワン カーマイル エリック バルタサール
2 4 3 5
ゴーグ
1
スウェーデンはコスタリカと同じく何としても1勝が欲しい、もはや首位は不可能だが少しでも上の順位へ登りつつ今一度自分達のサッカーを取り戻したい。その為の今日の日本戦だ。
円陣でキャプテンのベネディクトがこの試合への意気込みを伝え、チームの士気を高める。
「きっちり勝って4連勝、今更大男に怯む奴はいたりしないだろうな?」
藤堂の言葉で今のスウェーデン相手に怯むような日の丸を背負う選手達はいない、全員が油断なくスウェーデンを倒そうとしている。
「行くぞ!まずは立ち上がり一つ集中だ!」
コイントスの結果はスウェーデンが先攻を取り、向こうからのキックオフだ。
フランスの時間は昼の12時、この時間となった瞬間に日本とスウェーデンの試合は開始される。そしてスタジアムの時計の針がそれを指し示すと審判の笛は高らかに吹かれ、今キックオフを迎える。
ピィーーー
同時刻、ベルギー対ナイジェリアの試合もキックオフ。ベルギーの方は既に1位突破が確定しているもののエースFWアドルフは今回もスタメンで出場。
相手のナイジェリアはアフリカ勢特有の高い身体能力を持ち、スピードも兼ね備えたチーム。フランスに敗れてはいるがウルグアイに勝利しメキシコと引き分けたりと侮れない相手だ。
右サイドから攻めるベルギー、そこに相手のナイジェリア選手の素早いチェックが入ればボールを奪われる事だけは阻止して相手選手の足元にボールを当ててタッチライン際へと逃れる。
「アドルフ」
「ん?」
そこへルイがアドルフにこっちへ来るようジェスチャーで軽く伝えるとそれが伝わったアドルフは駆け寄って行く。
「サイド行くと見せかけて真ん中ぶち抜くぞ、うちがサイド攻撃得意としているのは向こうのデータに入ってて印象付いているはずだ」
「仰せのままに」
チームの頭脳が決めた事なら、とアドルフはそれに従いルイの作戦に迷わず乗っかっていく。
ベルギーはスローインから試合再開、サイドの選手を右サイドへと走らせればナイジェリアDFの注意はそちらへと向いている。この後のパスはこいつへ出ると読んでおりベルギーの右サイドハーフの選手にナイジェリア選手の1人が並走する形でマークしていた。
作戦通り。
ルイは口元がニヤっと笑えば左足でボールを蹴り上げるとナイジェリアのCDF2人の間、その頭上を越してDFの裏へボールを落とす。
そこにアドルフが作戦通り走り込んでいてナイジェリアの中央をルイとのコンビプレーで突破しにかかる、だが相手は抜群の身体能力を誇るナイジェリアDF陣。すぐに反転してアドルフを追い掛けて並走すれば激しく体をぶつけて行く。
『ナイジェリア、力でアドルフを止めに行く!だがアドルフ倒れない!強い!!』
長身ストライカーでその体はしなやかな筋肉に覆われている、細身に見えてアドルフは当たりに強い。ナイジェリアのチャージにも負けていなかった。
「うおおお!」
強引に相手のCBより先にボールを取れば右足で強めにボールを前方へと蹴り、これを見たGKは勢い良く飛び出して行った。
観客から見れば強く蹴り過ぎだ、ミスキックだなと見えるが実際は違う。
そのままGKへ向かって転がって行くかと思えば手前でスピードは減少、強引にボールを取る中でアドルフは強めにボールを蹴った時に少し宙に浮き、ワンバウンドすれば急激にスピードは減少。
そうなるようにアドルフは蹴る直前あの状況でバックスピンをかけていたのだ、これによりGKとどちらが先に触れるか分からなくなる。
もう戻る所までは行けない、GKはボールへと飛びつきに行った。懸命に両腕を伸ばし、グローブがボールに触れようとしている。それより一瞬早くアドルフの左足が蹴られておりボールはGKの頭上を飛び越えて美しい放物線を描いていた。
力でDFを突破したかと思えば華麗なループの技を見せてのゴール、力と技を兼ね備えるアドルフの見事な先制ゴールだ。
『アドルフ・ネスツ、また決めたー!ベルギー先制!屈強なナイジェリアDFを蹴散らしてのループとは魅せてくれます!』
先制ゴールを決めた事でアドレナリンが出たのかアドルフは自分のユニフォームを脱げばそれを掲げて走るゴールパフォーマンスを披露。
細身ながら鍛えられた上半身の筋肉が露となり、このパフォーマンスにベルギーのサポーターは大盛り上がりだ。
その直後にアドルフは審判からイエローカードが出されてすぐにユニフォームを着始める。
「バカ!無駄にイエロー貰ってどうすんだよ!」
「悪い、テンション上がっちゃってついやっちまった」
「全く累積1枚目だからまだいいものの、これが決勝で出場停止だったらシャレにならない所だったぞ!」
ゴールパフォーマンスで服を脱いだらイエローカード、それは規則により厳しく禁止されている。ルイだけでなくアドルフもそれは分かっていたはずだが興奮のあまりこのゴールパフォーマンスをやってしまったのだ。
その事でルイは厳しく注意し、アドルフは謝罪。
「間違ってもUー20ワールドカップでやるなよ!やったらお前の苦手な芽キャベツをこれでもかってぐらい口に押し込んでやる!」
「うえ!?それはマジで勘弁してくれ!」
子供の頃からたっぷりと芽キャベツを食べさせられてきたアドルフはそれを苦手としている、幼馴染のルイもそれは知っており芽キャベツを口にすればアドルフは口に押し込まれたくないのでUー20では脱がないようにしようと決めた。
ナイジェリアは失点後に個人技を主体とした攻撃で反撃に出るが、それに対してベルギーの長身DFアキレスを中心とした守備陣がこの反撃を凌いでいき付け入る隙を与えない。フランス戦でこそ失点を許しているがその後は守備を立て直し相手の攻撃陣をシャットアウトし続けていた。
そしてベルギーの反撃、華麗にして速いパスワークでの高速カウンターを得意としておりナイジェリアの攻撃を守りきって2点目を狙いに行く。
これにナイジェリアの選手がパスからドリブルに切り替えようとしていたルイの足を引っ掛けてしまいルイは転倒、審判の笛がすぐに吹かれればベルギーボールのFKだ。
ゴールほぼ正面で距離にして35m程、ゴール前にはアドルフと長身のアキレスがいる。無論彼らの高さに注意だとナイジェリアDF陣が目を光らせている。
「(先、走れ。そんで飛び越えるんだ)」
「(分かった)」
ルイは共にキッカーの位置に立つチームメイトと打ち合わせ、その後に作戦通り1人がボールへと向かいダッシュして勢いよく蹴りに行くと見せかけボールの上をぴょんっと飛び越えた。
直後にルイが左足で球を捉えて飛ばすと壁の左上の遥か頭上を超えて行き、そこから速いスピードを保ちつつ鋭い曲がりを見せてナイジェリアのゴール左上隅にボールは飛んでいく、これにGKも飛ぶが最も取りづらい苦手とする位置に蹴られては身体能力に優れたキーパーも簡単には取れない。
再びゴールネットが揺れればスタンドも見事なFKのゴールに揺れており歓声が湧き上がっていた。
『ベルギー2点目ー!小さな体でこのワールドクラスなFK!これがベルギーのキャプテンで司令塔、ルイ・デュッセルだー!』
ルイは観客達へと右手を上げて応えてみせる、アドルフとは対照的で控えめなゴールパフォーマンスだ。そのルイへとアドルフや仲間達が寄って来てゴールを祝福する。
前半終了間際でベルギーの追加点、良い試合運びでリードを奪いハーフタイムを迎えられそうだとベンチの雰囲気は明るい。そんな中でスタッフが声を発した。
「え?スウェーデンを相手に日本が3ー0でリード!?」
同じ頃、日本がベルギーを上回る得点をこの日に記録しており日本の試合経過を聞いていたベルギースタッフを驚かせる。
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半蔵「最近はまた暑さが増したな…本当に」
詩音「もうアイスとか麦茶が欠かせないよー」
玲音「この時期特に美味しい2つだねー、後塩分の補給も忘れないようにねー」
半蔵「そうだな、少々の塩分補給に加えて水分補給もしっかりしないとな。やせ我慢して倒れるのが1番良くない」
詩音&玲音「この夏皆さんも気をつけて過ごしてねー」
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