第250話 Uー19フランス大会の組み合わせ
※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。
日本から離れた異国の地で迎える朝、フランスに到着して久々に地上にて眠るベッドはすぐに彼らを夢の世界へと誘い窓から差し込めてくる朝の日差しが自然と眠りから目覚めさせてくれる。
例外はいるが。
「まだ眠い~…」
「二度寝したらアカンかこれ…」
Uー19日本代表はそれぞれ起床し、朝食の為に食堂へと集まっていた。朝に弱い弥一と想真は未だ眠気が残ったままでベッドからの二度寝の魅力的な誘いに負けそうになったがチームメイト達によって引っ張られ、なんとか二度寝は避けられる。
ビュッフェ形式となる朝食、パンやご飯と洋食、和食が用意されており栄養士の考えた朝に適したメニューがずらりと並んでおり選手達はそれぞれ取っていく。
弥一は洋食の方を選んでパン、キウイ、ハムエッグにオレンジジュースを取っていた。
他の者達は洋食派と和食派、大体は半々といった所であり優也と大門は揃って和食を選び、大門は朝から山盛りの白飯を食している。
「そういえばもう大会の試合の組み合わせとか決まったんだっけ?」
「なんだ、まだ見てないのか?」
「移動とかで色々バタバタしてしまって…」
今回のフランス国際大会、その試合の組み合わせとかどうなったんだろうと弥一が食事をしつつ皆へとその話題を振っていくと大盛りのパスタを食べていた室が反応、見てない事を言われると大門は試合からの移動で見る事を忘れていたと申し訳なさそうに語りつつ山盛りの白飯を平らげていた。
「出場国は10で日本はグループAに入っている、初戦でぶつかるのはアメリカ、次がコートジボワール、コスタリカと続いてグループ最終戦がスウェーデンだ。この大会優勝候補はフランス、ベルギーと言われてるがどっちもグループBとそこは激戦だな」
組み合わせについて教えてくれたのは藤堂、洋食のハムエッグを食べ終えてから彼らへと日本が戦う相手を弥一達へと伝える。
「アメリカかぁ、やっぱどうしても野球やアメフトのイメージ凄い強いけどサッカーも凄いんだよね?女子サッカーとかアメリカ滅茶苦茶強いしさー」
「せやな、ランキングでも上位の方に男子はおるし女子は世界王者にもなっとるしなぁ」
アメリカのイメージについては男子の人気スポーツは野球にアメフトなど。そのイメージは会話する弥一と想真でなくとも浮かぶ。
女子サッカーの方ではアメリカが世界王者となった実績があり、女子の方でアメリカは強豪中の強豪だ。
「身体能力あるアメリカの男子は大抵アメフトとかが持って行っちまうから男子の方だと、女子と比べてそこまで力入れてないって感じだよな。スポーツ人気としてもその2つに加えてバスケもあったりとそっちの方がサッカーに比べたら圧倒的な人気を誇るしよ」
「やっぱそっちの方があるのかなぁ、アメリカンドリームっていうのが」
アメリカのスポーツ事情について少し詳しい様子の月城、それを語りつつパンを食していき大門はアメリカの男子がその夢を求めて多くが人気あるスポーツの方へ行くのかなと考えていた。
「サッカー人気あろうがなかろうがUー19のアメリカは強いぞ、この前親善試合でオランダと引き分けたぐらいだからな」
藤堂はアメリカ要注意と見ている、彼が言うのはアメリカのホームで行われたオランダとの親善試合。トータルフットボールで知られる欧州の強豪を相手に彼らは0-0のスコアレスドローで終えていたのだ。
「女子に負けてられないとなってアメリカさんもサッカーに力入れてきたんですかね、まあ日本も人の事言えないですけどね。女子が世界一になって男子の方はそれ取ってませんからー」
アメリカの事を言えた立場じゃないなー、と白羽は呑気に笑いつつフォークにパスタを器用に巻きつけて食べる。
「うわー、皆デカいなこれー」
朝食を食べ終えた弥一は参考にとスマホでUー19アメリカ代表の試合を見てみる、オランダの時とはまた別の親善試合だ。
アメリカ代表のユニフォームに身を纏う選手達の身長はいずれも高く、ほとんどが180cmを超えているのが当たり前。
そしてその中で特に一際目立つアメリカの選手を発見する。
短髪で金髪、上半身の筋肉がユニフォーム越しで見ても逞しく強靭である事が伝わる。それより何より目立つのはその男の身長だ。
長身揃いのアメリカ選手が小さく見える程に男は高い、敵味方問わず周囲がまるで小人であるかのようだった。
男は自陣ゴール前でその巨体を活かし何者にも空中戦で負けず当たり前に競り勝って高いボールを弾き返し続ける。
そしてアメリカのセットプレーとなるとゴール前の巨人は動き出す、ズシンズシンと地響きが起きそうな感じで向かい今度は相手ゴール前へと山が聳え立つ。
ハーフウェー付近からのFK、キッカーはゴール前へとロングボールを放り込む。そこに合わせて巨人が空高く飛ぶと誰も届かない聖域に等しい上空から文字通り叩きつけるヘディングシュート。
凄まじい高さと勢いの前に相手DFとGKも反応しきれず相手のゴールネットは揺れていた。
「こいつのおかげでちょっとしたロングボールによるセットプレーも相手やアメリカにとっては必殺技のようなものだ、アメリカを倒すには攻守でこいつをなんとかする必要がある」
腕を組んでどう攻略するかと真剣に考えている様子の藤堂、一方弥一のスマホには得点を決めた巨人の顔が映し出された。
体は大きいが表情は10代らしくあどけなさを残している、顔だけ見れば彼が此処までの身長を誇るとはあまり思わないかもしれない。
デイブ・アーネスト。
弱冠18歳にして身長2m10cm、体重100kgを超える巨漢。
アメリカ代表のCBで背番号6、アメリカの1部リーグでプレーしており欧州のスカウトも注目する逸材の1人だ。
並外れた体格と高さから北中米の巨神と言われている。
「デカ過ぎるだろ…こいつ出る競技間違えてないか?プロレスとか」
あまりの身長に優也も絶句してしまう、これ程の体格を誇る者はプロレス等の格闘技向きなのではないかと。
「DFって事は室、このでっかいのとバッチバチにやり合う事になっちゃうよねー」
「そうなっちゃう…よなぁ」
弥一の視線の先に195cmを誇るUー19日本の巨人である室、彼も大型ストライカーでありアメリカに高さで負けてないが規格外に大きいデイブと比べれば室ですら小さくなってしまうかもしれない。
彼でも15cmもの差がある、室がもし試合に出るとしたらデイブとの空中戦はまず避けられないだろう。
「デイブばっかり注目行ってるけど他もパワーがあってフィジカルに優れている、こいつらのパワープレーは厄介そうだな」
規格外の巨人ばかりに目が行かないようにと辰羅川は改めて他にも要注意の選手達は居ると選手達に伝えていく。こうなると怖いのはやはりセットプレー、力づくで強引に来られると日本のパワーではこじ開けられる恐れがある。
一戦目から日本は厳しい戦いを強いられる事になりそうだ。
選手達は練習の時間を迎えれば一斉にグラウンドへと出て午前の練習をそれぞれ開始した。
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想真「2m10cmの体重100kg越えってなんやねんこの怪物!?」
室「海外勢は大きく強い、と何かと話してはいたけど代表格が初戦でもう出て来てない!?」
弥一「いやー、実際どんぐらい大きいんだろうねぇその人」
想真「サバ読んでそんな無いの期待にしても…動画で見る限り周囲の180クラスより明らかにこいつでっかいわぁ、お前と並んだら文字通りの巨人と小人やろ」
室「多分今大会どころか、この世代で1番大きいのと小さいのだよなぁ…デイブと神明寺って」
弥一「うーん、どうだろ?探せば世界にもっと大きかったり小さかったりする選手いるかもよー?」
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