ウルフィラ VS キャティス Wolfira VS Catice
!~よたみてい書
1話 キャティス、襲来
賢一「地震か!?」
家の中が振動でガタガタと音を鳴らしていた。
地震が起きたのならば、震源と震度を確かめたい。
しかし、スマートフォーンでニュースを調べても地震の情報がない。
仕方ないので、SNSで他の人からリアルタイムな情報で我慢しよう。
『
『巨大な隕石? が降ってきた。負傷者は不明』
『地震かと思ったけど、外に出たら隕石があった』
やはりSNSには最新の情報が投稿されていて、動画もあったので再生するために画面を押していく。
戸惑う人『え、なにこれ?』
悲鳴を上げる人『きゃぁぁぁぁ!!』
撮影者『うわっ、隕石降ってきたよ、隕石』
撮影者の友人『でっけー、直撃しなくてよかったー』
撮影者『あれ、隕石が映ってない』
撮影者の友人『もっとカメラ引いて!』
撮影者『いや、十分引いてるけど、なんだこれ』
泣き叫ぶ人『純也ー!!』
動画から緊迫感のある声が聞こえたり、非常事態なのにヘラヘラしている声も聞こえる。
しかし、肝心の隕石とやらの姿が見えない。
確認しなおすと、動画のタイトルも『隕石が降ってきた! なぜか撮影できないけど!』となっている。
自分のスマートフォーンが壊れているのか不安なので、ほかの人も見れているのか調べよう。
だけど、そこには隕石の動画や画像がカメラで撮れないという情報のほかにも気になる情報があった。
というよりか、その新しい情報がすぐにSNSで溢れている。
『隕石じゃない! 巨大生物だった!』
『巨大生物が降ってきて、動き出した!』
『建物を破壊しながら巨大な生物が街中を進んでる!』
『猫みたいな巨大生物が建物破壊してる』
『みんな、逃げろ! 巨大生物が街を襲ってる!』
新しい動画が投稿されていたので、みんなが騒いでいる出来事を確認した。
しかし、動画にはやはりみんなが書いている巨大生物の姿が見当たらない。
代わりに大きな建物が勝手に崩壊していく様子が鮮明に動画で撮影されていた。
一体どうなっているのだろう。
自分一人では解決できそうにないので、エリカの力を借りよう。
賢一「エリカー! 動けそう?」
エリカ「賢一、何か御用でしょうか?」
彼女の名前を呼ぶと、すぐに返事をして家の奥から姿を見せる。
アンドロイドの使命を全うしていて素晴らしいとは思う。
でも、たまには不都合な出来事もないと人間らしさを感じない。
賢一「なんか東拠に巨大生物が降ってきて、街を破壊しているらしい。ってSNSで見かけたんだけど、エリカのほうでも情報収集お願いしてもいいかな? なんか俺のスマフォーじゃ見れないんだよね」
エリカ「わかりました」
賢一「ありがとう」
エリカ「情報収集が終わりました」
何時ものごとく、とても早い。
賢一「それで、どうだった?」
エリカ「私も賢一と同じで、テキストデータは確認できました。しかし画像や動画では、書き込まれている巨大生物の姿は確認できませんでした。建造物が崩壊する物は確認できました」
賢一「エリカでも同じ症状なのか……」
自分のフマートフォーンの問題ではなさそうだ。
SNSでも書き込まれてる通り、撮影ができないのだろうか。
エリカ「ただ、確かなのは私たちも避難したほうがいいです」
賢一「あ、うん、そうだよね。どこに逃げたらいい?」
エリカ「状況は不明ですが、建造物の崩壊からして、東から西に何かが起こっている模様。東には向かわず、南北、あるいは西に向かいましょう」
賢一「わかった。とりあえず東以外に逃げよう」
エリカ「はい」
水や食料を取ってきたほうが今後に役立ちそうと思った。
だけど、もたもたしているうちに自分も襲われたら元も子もない。
さっさとエリカと共に謎の巨大生物から逃げよう。
急いで玄関を飛び出し、周囲を確認する。
東が危ないとは言われても、方角がよくわからなかった。
『ドゥガッガッガガァドゥガンゴゴゴゴッ!!』
しかし、遠方で大きくて鈍い音が聞こえたのですぐに危険な方角が分かる。
それから脅威を確かめるために、視線を音の方に向けた。
居た。
だいたい1キロ先だろうか。
見慣れた建物群の光景の中に、異質な巨大生物が強い存在感を示している。
巨大生物はSNSで得た情報の通り、猫のような姿をしていた。
しかしその
ビルがまるで巨大生物の玩具のようだ。
『ドゥガッガグォグァアアガッガガン!!』
巨大生物は次々とビル型建造物に体を突っ込ませていく。
当然建物は耐えられるわけなく、容易に崩壊していった。
賢一「巨大生物が暴れてる」
エリカ「私には巨大生物を認識できません。建物が自壊しています」
賢一「違う。猫のような巨大生物が、建物に!」
エリカ「申し訳ありませんが、その猫のような巨大生物とは何のことでしょうか?」
目の前で起こってる出来事にどうして気が付かないんだ。
体の中に焦りと怒りが湧き上がるけど、今は彼女にそれをぶつけても仕方がない。
賢一「早く逃げよう」
エリカ「わかりました」
巨大生物に背を向けて、
他の避難者も同じ考えなのか、全員が同じ方向に走っていく。
迫りくる脅威に近づく理由はないので、自分も人の流れに混ざっていった。
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