第22話
シャチの牙を逃れて数時間後には、三日月島の砂浜に上陸し、僕は潜水服を脱ごうとしていた。
ここは本当に小さな島で、沖から見るとコロンと丸く、まるで子ガメが水に浮いているようにしか見えない。
だが近づくにつれて島らしくなり、三日月のように丸い形をした岬の先にある灯台を見分けることができるようになる。
背の高い灯台は海岸べりにあり、石灰石でできた真っ白な建物だが、僕がドアをたたくと、すぐに中から開いてくれた。目つきの鋭い男たちだ。
軍服までは着ていないが、一目で軍人だと知れる感じ。
もちろん彼らも同時に、ストロベリーに所属していることを示す僕の階級章に気が付いたに違いない。表情が一瞬でこわばるのが見えた。
合衆国海軍においては、ストロベリー隊員の発する要求はすべて無条件に認められ、実行されることに決まっていた。
いつどこで、どんなに奇妙な指示を出しても、一般兵の側には質問する権利すら与えられていないのだ。
逆に言えば、ストロベリー兵が持っている情報は、常に最高機密として扱われるということ。
僕は口を開いた。
「無線機を使わせてください。司令部へ緊急連絡があります」
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