第7話
潜水艦だけでなく、戦艦や空母、巡洋艦の姿も見える。
広くもない海域に、何十隻もが密集しているのだ。まるで軍艦の駐車場のような眺めだ。
「これ何? 全部日本の船だよ。旭日旗ばっかりだ」
僕がそう言った時には、呆れるのにも程があるといった顔でコバルトが腕を動かし、僕の顔に水をザバッと跳ねかけた。
それがあまりの勢いなので、押し流されないよう、僕はコバルトの髪にしがみつかなくてはならなかった。
「まだ寝ぼけているのか? 大日本帝国が、合衆国へむけて侵略を開始しているのだよ。そのために艦隊がここに集結しているのが分からんか?」
「まさか」
僕は見回し続けたが、すぐにコバルトの正しさに気が付いた。並んでいる艦艇の種類と数は、最大規模の奇襲攻撃と考えて矛盾のないものだった。
コトコトと打つ僕の心臓は、アクセル全開のエンジンのようになりつつある。耳の中で、じんじんと耳鳴りも始まった。
だけど僕は、まだ全面的には信じることができなかった。
「ねえコバルト、だけどやっぱり…」
「お前のようなガキには無理かもしれぬが、私のように長く生きていると、そろそろ日本人が何かデカいことを計画していると感じられるものだよ。あの国の物の考え方は、何十年たっても変わるものじゃない」
「じゃあどうするんだい?」
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