第22話

22話


「こんな美味い肉がこんなところで食えるたぁ、俺ら最高にツイてんなァ!」


「こら、言葉に気をつけなさい。……とはいえ、たしかにここまで素晴らしい食事を頂けるは思いもしませんでしたね。おつくりになられたのはアテナ様でしたか、お嬢様は良縁にも恵まれておりますね」


「それは、自分も良縁の一部だと言いたいわけ?」


「はは、それは勿論でしょう?」


「そうね。だからこそあなたをウチの御用商人に選んだんだから」


シルバは元々は、辺境伯家の元御用商人の木っ端役員だった。

まさかのまさか、元御用商人がうちの家に詐欺をはたらいて、俺がそれを突き止めて処刑したのだが。

帳簿の合わない役員全員を奴隷送りにするつもりだったのだが、シルバの帳簿だけはなにひとつ偽装も虚偽も間違いもなくキッチリと綺麗に整っていたので、俺がそれを気に入って御用商会を仕切らせることにしたのだ。

もちろん、商人のスキルとして、汚い技術はいくつももってはいるのだが、それはそれとして金に対しては嘘をつかない、という信条が気に入ったのだ。


「これからも、良縁であり続けられるように、誠実に向き合わせていただきますよ」


「それなら安心ね。私がいる限り、ここは金を産む場所になるから」


ちゃんと満足させてやるよ。




翌日、シルバたちを見送り、俺らは迷宮探索を再開する。

シルバの護衛たちには、いずれまた遊びに来るように言っておいた。美味い肉料理を売る飯屋でも建てるか。アテナが厨房担当だ。


迷宮の五層。

大抵の迷宮は、五層ごとにボスがいる。最奥にボスエリアがあるのだ。

そこまでの道中は、前四層までの魔物が混成していることがほとんどだ。

つまり。


「雑魚ばっかっすね。にしても、お嬢様に研いでもらった剣……使いやすすぎて怖いっす」


「ダルクがよかったらだけど、体に合わせて重心とか変えようか?」


「あー、あー……それもめちゃくちゃありがたいですけど、今の慣れてるのもそのままほしいな……二本欲しいですね、剣」


「騎士の剣を二本……騎士の魂をなんだと思ってるんですか」


「すいません団長!」


まあそうなるよね。騎士にとって剣は命より重い、なんて言葉もあったりなかったり。

……そうだな。


「そのうち、私からも剣をさずけようかしらね」


「……」


「……」


「……いいんすか?」


三人ともこっち見てる。なんだ、そんなに剣がほしいのか?

言いたいことはわかる。が、そうだな。


「そのうち、ね。ちゃんとパパに許可とってから。伝言はもらってるけど、ちゃんと会って引き継いでから、ね。もちろん、家の騎士としての剣を奪ったりもしない。私からの剣を追加で渡すだけ。わかるかしら?」


「わかります! 剣を仰ぐ主君が増えるって事です!」


……うん、まあ、間違ってはない。いや、それでいいや。

家を優先して、俺はその次。それでいいか。俺の直下だけど、俺の物ではないから。

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