尾行ーTheDetactive KP

KPenguin5 (筆吟🐧)

第1話 怪しい男

僕は今日、紫音に頼まれて図書館にきている。

図書館で調べ物をしてきてほしいと頼まれたんだ。5年前の新聞を探しているらしく、それをコピーして僕は図書館を出た。

図書館の前には、緑があってとても気持ちがいい。

僕は手ごろなベンチに座って、図書館の中にあるカフェでテイクアウトしたコーヒーを飲みながら、少し景色を眺めていた。

少し前までは、じりじりする日差しを避けて歩いていた街も、今は心地よい風と暖かな日差しで、外でこうしているのも気持ちがいい。

僕は、少し黄色に色づき始めた街路樹を見ながら、季節の移ろいの速さに幾ばくかの焦りなども感じていた。


しばらく、そのベンチで道ゆく人を眺めていたら、ある男が僕の横に座っておもむろに携帯を取り出した。

ハンチング帽にツイードのニッカポッカ、サングラス。まるでコナンドイルの小説の世界から抜け出したかのような風貌だが、なぜか似つかわしくない安っぽい大きなボストンバッグを大事そうに持っている。

ふと、紫音ならこんな男が現れたら、尾行して正体を突き止めるとか、ボストンバッグの中身を確かめるんだとか言い出すんだよな、と思いふっと僕は笑った。


「あぁ・・・・・そうだ。

決行の時間は20時だ。今が15時だから、あと5時間だな。

・・・・あぁ、それは俺が持っている。大丈夫だ。起爆装置は別にある。わかった。金はきちんと用意してあるんだろうな。・・・そうだ、1億だ。成功すればきちんと払ってもらうぞ。」


僕は別に聞こうと思って聞いていたわけじゃないが、男の電話の会話が聞こえてしまった。

起爆装置?金を用意?1億?

いったい何を言っているんだ、この男は。

僕は電話の会話を聞いていないふりをしていたが、意識は男の会話に釘付けだった。


「わかった。じゃぁ、20時に例の場所で。・・・そうだ、これから俺が物を運ぶ。・・・遅れるなよ。」


その男は電話を切ると、荷物をもって立ち上がって歩き出した。

僕は、一瞬どうしようかと迷ったが、もし事件の可能性があるなら放ってはおけないと思い、男の後をつけることにした。

その前に、一度紫音に電話で報告をした。


「あ、俺だけど。今いいかな。

いま、図書館でたところなんだけど、怪しい男を見つけたんだ。」

『怪しい男?なんだよそれ。』

「なんか、ホームズみたいな格好してるんだけど、大きなボストンバックを抱えているんだ。で、その男が電話で、起爆装置とか、1億とか言ってるのが聞こえちゃって。

怪しすぎるだろ?だから、つけてみようと思って。」

『わかった。確かに怪しいな。一度それとなく堀田さんに聞いてみるよ。また連絡する。そっちもなんか変わったことがあったら、連絡してくれ。』

「ん、わかった。」

『危険なことはするなよ。もし、危ないと思ったらすぐに手を引くんだ。』

「わかってるよ。じゃ、またあとで。」





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