転生恋戦~転生者の俺だけど、国から決められた婚約者がすっごく甘やかしてきます。どうしよう~
結芽之綴喜
01.幸せ、あまあま
「──俺って、転生者なんだ」
第二魔導高専の校庭。その隅っこにて俺はそんな声を発した。
それにたいして俺を膝枕する少女──ユキナは、きょとんとした表情を浮かべて、
「ええ、知っています」
だからなにか? と首をかしげるユキナに、俺はなんとも言えない想いを抱く。
「いや、だから、俺は転生者でな? それを知ったんだから、気持ち悪いとかそういう風に思わないかと言いたいわけでして……」
「……? いえ、別に。ハルくんが異世界からの転生者であっても、私にとってハルくんはハルくんですから」
言って、少女──ユキナ・ヴァン・ユリフィスはふわりと微笑んでみせた。
「私とあなたは婚約者同士なんですよ? 転生者だからとか、そんな理由で気持ち悪いとか、嫌いになるとかは絶対にあり得ません」
「……でも、その婚約だって、国から勝手に決められたものだろう」
眼鏡越しに少女の蒼い瞳を見やって俺がそう告げると、とたん呆れを浮かべるユキナ。
「もう、ああいえば、こういう……わかりました。私の想いをわかってもらうためにハルくんをもっと甘やかします」
言ってユキナが俺の頭へと手を伸ばす。
「ふふ。ハルくんの髪は触っていて気持ちいですから、好きですよ」
俺の上半分が黒で、下半分が金髪という独特な色合いをした髪を撫でながら甘くユキナが言うのに、俺はむずがゆさを覚えて身を震わす。
「───」
俺は自分の頬に熱が昇る感触を覚えた。
そうして赤面する俺へ、ユキナはさらに追撃とばかりにこう言葉を付け加えてくる。
「もちろん、ハルくんも」
……本当にこの子は。
呻きそうになる声をなんとか押さえて、その上で俺は思う。
──どうして、こうなったんだろうなあ……。
それを語るには、時間軸を過去へ。
俺が、彼女との婚約を持ちかけられた、あの日にまでさかのぼる必要がある──
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