勇者は負けたので、魔王は廃業した。とさ
水瀬真奈美
プロローグ
とある王宮の大広間で執り行われた昼食会の後、催し物が中庭にて繰り広げられていた。
その内容は罪人の絞首刑や、ギロチン刑などの処刑が主だった催し物だ。
国王は満足そうに罪人が処罰される姿を見て、にやけながら鹿の頬肉を食らっている。
この昼食会はあるゲストのために催されているものではあるが、そのゲストはこの手の催し物に全く満足しているそぶりを見せない。
国王はもっと残酷な物が必要と考えた。なぜならゲストである相手は魔王なのだから。
次の処刑は、人間を手足を四方向から馬で引っ張り、内臓がぶちまけるまで行われた。
さらに森に住まう野獣達の檻の中に罪人を入れ、食われる様を見て楽しむショーも開催された。
「「クチャクチャクチャ」」
複数野獣達により、あっという間に息絶えた人は徐々に骨だけを残して肉だけが食われていく。
今度こそ魔王が満足したのかと、魔王を覗いたが顔は怒り満ち溢れていた。
どうして魔王は満足しないのか、怒りに満ち溢れているのか、国王にはわからなかった。
『相手は魔王だ、これぐらいの残虐行為程度の催し物では、もの足らず退屈しているに違いない。もっと残酷な催し物が必要だ』
「国王様、次はいかがしましょうか?」
「
「まさかあれを魔王様に捧げるのですか?」
「違うわい。最も臨月になった女がいいな。連れてまいれ。それから野獣犬を数匹頼む」
「うむ……なるほど、承知しました」
国王の側近は、王の考えがわかったらしく、ゆわれるがまま対象になる女性と野獣犬を連れて現れた。
それに対して魔王はキレる寸前である。このつまらなく血なまぐさい最低のショーにげんなりしている。ショーというからピエロや大道芸人でも出てきて、手品やアッというかくし芸だと思っていたが、ゲストである私に対して、単なる処刑を見世物にしていることに、怒りが収まらない。手に持っているグラスがプルプルと震える。
「さぁ魔王よ、最も残酷な楽しい催し物をお見せしよう」
お腹のお大きな女性が首輪と四肢を鎖でつながれて現れた。
壁に張り付けにすると、国王は女性の前に行き卑劣な言葉を言い放った。
「この臨月の女は街で拾った女でしてな、俺が種付けをしてやったんだ。あっさりと簡単に
女性のお腹部分の服をナイフではぎ取った。
「王様、何をなさるのですか? お辞めください!!」
必死で懇願する女性を国王は、うるさい蠅としてか見ていない目で見つめた。
「お腹の子は国王様のお子です。間違いございません。私は王宮に入るまで……処女だったのですから」
国王はそんなつまらない話は聞いていない。なぜなら、そんな女性は数多くいるからである。
気になる街娘を見つけると、王宮に拉致しては辱めを繰り返していたのだからだ。
「俺の子だと。ただたんに外に出すよりも、中に出したほうが気持ちいいからに決まっているだろうが」
避妊は絶対にしないため、ご懐妊になるが、街娘風情が王の子を孕むことは許されず、中絶では飽き足らず、絶えず処刑を繰り返している始末。
「それに街娘ごときが、俺の子を孕む権利なんてないんだよ! みんなみんな勝手に孕みやがって」
国王は地団駄を踏んで悔しがるが罪の意識はまずない。
壁に張り付けされている女性の頬を殴った。
女性は涙を流しながら死を免れようと懇願する。
その光景を見ていた魔王は、手に持っていたワイングラスを砕いた。
「さてと、これからこの女を
女性は号泣とともに再度懇願する。王の子がおなかに居るだけで罪となるのか。
目の位置に穴の開いたズタ袋を被ったガタイが良い処刑人が現れると、女性の腹を引き裂き、血が噴き出すとともに腸が飛び出してきた。
「うっぎゃーーーーーーーーーーーーー」
女性の断末魔がこだまする。
その光景を見ていた野獣犬が、早く食べさせろと一斉に騒ぎ立てる。だが、まだ食べてよいと王の許しは出ない。
処刑人は、さらにナイフを奥へと押し込み、子宮を切り裂いた。
中からは赤子が出てきたが、それを汚い手で触り、へその緒を引き継ぎると床へ叩きつけた。
ようやく一匹の野獣犬への食事が許され、床の赤子を食らう。
「……私の……あか……ちゃん……」
「まだこの女、息があったのか。やっておしまい」
残りの野獣犬が女の腹をめがけて駆け抜ける。
すぐに飛び出した腸をかっ食らうとすぐに食べつくし、内臓を漁り始めた。
女性は息絶えたが、それでも野獣犬たちは食事をやめない。
すべてを食べつくすまで、おなかを満たすまで食べつくすのだ。
黒いドレスを着た魔王がついに動き出した。
「魔王よ、どうです。最高の催し物でしょ」
「これがショーですって? よくもこんな非道が許されるか! 立ち去れ、この腐れ鬼畜国王がっ!!」
繰り広げられていた残虐の数々を前にして魔王が叫んだ。
「さもなくばお前の皮をひん剥き、バラバラに解体するぞ!」
魔王は女のものとは思えぬほど低く、残忍な声色でゆっくりと話した。
「魔王ともあろうものが、これぐらいの残虐でひぃーひぃーいいなさんな。催し物の本番はこれからだ。ひぃひぃひぃ、続きをやれ」
醜い肉塊のように太った国王はよだれを垂らしながら今度はイノシシのもも肉を頬張りつつ、次々に行われる残虐な光景を楽しんでいた。
「黙れないのか国王。いやすでにお前は国王ではないは下人以下だ。下等生物め」
それを聞き黙っていられなくなった国王。魔王のために用意した催し物なのに満足するどころか、ワシへの狼藉、許すまじ。
「魔王だからと黙って聞いておれば! ワシを誰だと思っているんだ。この国の国王だぞ! 一番偉いのはワシだ!」
国王は魔王を処罰するため、部下に命じたが、力の差は歴然。
あっという間に、国王の部下は倒され王宮から逃げなくてはなりませんでした。
取るものもとりあえず、国王は命からがら魔王から逃げた。とさ
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