贖罪
月島ノン
あらすじ(ホラー賞のためのものです)
週刊誌のスクープを撮ることを仕事にしている平凡な男…しかし彼は俳優やタレントの暴露記事ばかりを取り上げる記者であった。彼の記事は一般人にウケがよく、いつも新しいスクープを…と仕事に追われていた。
いつも通りタレントを尾行し、暴露ネタを探す。が、
バサッ
彼の頭に布袋が被せられる。
驚くと同時に生命の危機を感じ抵抗したものの…それもむなしく、意識を失った。
彼は丸一日ほど意識を失っていた…
目が覚めるとそこは…まるで深海にいるかのように暗く、湿っていて…ゴポゴポと何かが泳いでいるような音がし、錆びた鉄のような臭いがする場所だった…
男「誰か!ここから出してくれ!金ならいくらでも出す!だから…」
パチッ
部屋に灯りが灯る。
テレビだ。
男はテレビの方へ近づく…すると…
画面に不気味なマスクを被った人物が映る。
「やぁやぁ…久しいねぇ…君が来るのを待っていた…君がここへ来たのにはある理由がある。決まり文句だが、すぐに教えてもつまらない…君には、君が犯した罪を精算してもらわないといけない。君も、私も、わかっていることだ。」
マスクの人物がそう言うとテレビは消える。
男「…罪…?'あの'ことか!?頼む、誰にも言わないでくれ…もう俺は十分に罪を償った…!!頼む…彼女のことは…!!」
そして部屋に灯りが灯る…そこは血で床が染まり、いくつもの人骨が並べられた部屋だった。
男「ひぃ…!もう…やめてくれ!俺は悪くない…悪くないんだ!誤解なんだ!」
パニックになる。壁をだんだんと叩き、泣き崩れる。
男「俺の罪は…タレントの暴露記事なんかじゃない…!もう思い出したくもないことだ…!」
しばらく泣き続けた後に、男は部屋からの脱出を試みる。
部屋を探索しようとする…が…男の足には枷がつけられており、動けない状態だった。
男「これじゃあ何もできない…」
しかし男の足元には、ひとつの…刃物が用意されていた。
男はゾッとする。これで足を斬れというメッセージが込められていることに恐怖をおぼえる。
男「足を失ったら歩けない…なにか他の方法は…?」
辺りを見回していると…
男「これは…針金?なんでこんなところに…」
男はピンときた。足枷の鍵を針金で外そうとする。
男にはピッキングの技術があり、容易に外すことができた。
男「
先にはテレビが置いてあり、またビデオが流れはじめた。
「ここまで進めたかい?思い出を捨てて、足は…針金で逃れたかい?…君の贖罪は完成に近づきつつある。まぁいい、この先は…君と、君の仲間たちの贖罪だ。行けばわかる。先に進みたまえ。」
男「くそったれ…仲間との贖罪?仲間って…」
男は何かに気づき、急いで次の部屋へ入る。
そこは広い部屋で、誰かの声がした。
男「誰かいるのか!?ウィリーか?」
ウィリー「俺だ!ウィリーだ!助けてくれ!」
男「ウィリー?今行くからな…!」
声の方向へ行くと…手足を拘束された男がいた。
男「ウィリー、大丈夫なのか?俺だよ、わかるか?」
ウィリー「動けないんだ…それと…胸にナイフが向けられてる…!!」
酷く怯えた様子で、ウィリーは言った。
男「ナイフ…?」
腹の部分を見ると、何かの装置に設置されたナイフが向けられていた。
ウィリー「さっきビデオが流れて…お前の助けがいる!あれを取ってくれ!」
ウィリーが見る先には鍵と鉄板があった。鍵は鉄板の上に置かれていて、鉄板を触らなければ取れない。鉄板は熱々になっていて、触れればやけどでは済まないだろう。
男「…!!」
男は悩む。生きて彼女の元へ帰らなければならない。そのときに手が使えなかったらどうする?彼女を抱きしめられない…と。
ウィリー「早く!俺たちの仲だろ!?裏切る気か!?」
男「わかってる!」
急いで鉄板の上の鍵を取ろうとする。が、鉄板に触れてしまった。
男「いっっ!!」
男の皮膚はただれ、剥がれ落ちる。
そうこうしている間に、ナイフはどんどんウィリーの胸へと向かっていく。
ウィリー「くそ野郎!俺は…悪くねぇぇええ!!」
ナイフはウィリーの腹へ突き刺さり、ウィリーはこときれた。
男「ウィリー…すまない…俺は、彼女に…会いに行かないと…」
千鳥足で部屋を出ていく。
その先にはまたテレビとビデオが置かれていた。
ビデオを入れ、映像を見る。
「ウィリーとはどうだったかな?君のことだ。隣にはいないだろう?彼女のためと言い訳をしてそれから目を反らした。違うか?」
男「あぁ…俺は…もう…」
泣いて神に懇願する。もう許してくれと…もう贖罪は十分にしたと…
男は先へ進んだ。そこには一つの扉があり、それを開けると…
男「あぁ…すまない…俺は…罪を犯した…」
彼女が立っていた。
泣いて彼女を抱きしめる。
そして…男は…
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