第39話 週明け
週が明けて、学校が始まる。
俺は田舎者なので、講義の授業では真面目にノートを取っていく。
戦争や国関係のことならまだしも、内政とかになると弱い。
今は必要ないけど、後々必要になるかもしれないから頑張らないとなぁ。
「つ、疲れたァァァ!」
「ユウマさん、お疲れ様ですっ」
「お、お疲れ様でした!」
「ありがとう、カレン、アルト……いや、覚えること多いや」
食堂のテーブルに突っ伏して、思わず項垂れる。
政治経済や、文官についてとかは勉強してこなかったから疲れた。
そんな暇あったら、鍛錬しろって言われてきたし。
「いえいえ、わたしも覚えるの大変でしたから」
「ぼ、僕もですっ! あっちでは強い人が偉いだったからよくわからないです……」
「あぁー、そうだよね。人族っていうのはめんどくさいよね」
「あの、ユウマさんも人族ですからね? そして、貴族でもあるんですよ?」
「……すみませんでした!」
そうだ、元平民のカレンと獣人のアルトに愚痴ることじゃないや。
むしろ、俺が色々と教えてあげないといけないんだけど……無理ですね!
そうなると、セリスってことになるんだけど……今は無理かな。
「セリスさん、大丈夫でしょうか? 何やら、カイル様が頻りに話しかけてますけど」
「ひとまず、セリスには聞いたけど平気だってさ。これは私が片付けるべき問題だって」
「そうなんですね……」
「無論、俺としては……何かあれば、強引にでも助けるつもりだけど」
「その時は、わたしも微力ながらお手伝いしますっ」
「うん、その時はお願い……さて」
アルトが置いてけぼりになっているので話を変えることにする。
「そういえば、アルトは部活とかは?」
「僕ですか? うーんと……まだちょっとわからなくて。どういうものがあるのかもわからないんです。クラスには話せる人もいないし……」
「まあ! でしたら、わたし達と一緒に部活見学に行きましょう!」
「えっ? 僕も良いの?」
「もちろん、アルトさえ良ければ」
「う、うんっ! ありがとう!」
二人と部活見学か……ただ、女子と男子では入れる部活が違う場合あるよね。
そうなると、そっちを見る場合は俺がぼっちに……そうだ! 俺には彼がいたっ!
「ねえ、もう一人誘っても良い?」
「えっ? はい、わたしは構いません」
「うん、僕も平気だよ」
その後、連れてくる相手を伝えると……二人は驚いていたけど了承してくれた。
その後昼食を早めに切り上げ、俺は急いで教室に戻る。
そして、一人で腕を組んでいるレオンに近づく。
「レオン!」
「むっ、ユウマか。どうかしたか?」
「放課後って予定ある? というか、部活とか入るの?」
「本当なら、そんなものには入りたくないが……父上から人間社会を学んでこいとも言われている。なので、一応は見て回るつもりだ。どちらにしろ、冒険者登録もできんしな」
なるほど、俺と似たような感じってことだ。
俺も冒険者登録ができない今、部活は何かやらないと暇だし。
「それなら、俺と見て回ろう!」
「……良いのか?」
「良いも何も友達でしょ? ……あれ? 俺だけ?」
「くははっ! ……いや、すまん。ああ、我からもお願いしよう」
「よし、決まりだね。それじゃ、ちょっときて」
俺は教室の外に、レオンを連れて行く。
そこには、アルトとカレンが待っていた。
「二人とも、連れてきたよ。レオン、この二人もいるけど……良いかな?」
「何? ……我は構わんが、そこで震えてる犬族は良いのか?」
「ヒィ!? し、獅子族……我が国の王族に連なる方……」
「えっ? そういう立ち位置なの?」
「まあ、一応はな」
なるほど、獅子族は王族に値するのか。
ふんふん、勉強になるね。
「でも、ここではただの生徒だよ。ねっ、レオン」
「ふっ、その通りだな。犬族の者よ、我のことは気にせんで良い」
「わ、わかりましたっ!」
「カレン殿といったな、よろしく頼む」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
「よし、これで決まりだね」
俺達は放課後の約束をし、午後の授業を受けるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます