第8話 奈由香さんのリベンジ

「さてと、さっそくリベンジさせてもらおうかな」


 奈由香さんは家に着いて、俺の部屋に来て、すぐにそう言った。


「もうですか!」


 まだ家に着いて、三分しか経っていないのに。


「なんでよ、だめなの?」

「だってまだ調べたりしてないし」


 対策方法とかを調べるとか言ってたはずだ。俺の家に来るまでに調べる時間はなかったはずだ。


「確かにそうね、じゃあ数分時間ちょうだい?」

「ああ、いいけど」


 そして俺は奈由香さんがスマホで調べているさまを見ながら漫画を読む。


「んー、そうなんだ」


 奈由香さんはそう呟く。ごろごろしながらスマホをいじる奈由香さん、最高だ。かわいい。


「よし、やろ!」

「やりますか?」

「負けないからね」

「こっちのセリフですよ」


 そしてゲームが始まる。俺はさっそく剣士のキャラを選んだ。


「ちょっと待って」


 奈由香さんから待ったが入った。なんだ?


「私さっき昨日のあのキャラ対策で調べたから、お願いあのキャラを使って」


 奈由香さんから懇願された。こう言われては使うしかない。


「仕方ありませんね、使いましょう」

「ありがとー!」


「よし始めよう!」


 奈由香さんの掛け声で試合が始まった。


「私調べたんだ」


 奈由香さんは、アニメみたいにしゃべりだす。意外とこの人そう言うところがあるのかもしれない。


「そのキャラは背後を狙ったらいいって」


 喋ったら奈由香さんの狙いが分かってしまうんだけど、とツッコみたい。


 奈由香さんは有言実行でしっかりと俺のキャラの背後を狙ってくる。


「させるか!」


 俺は背後を特殊能力の雷の玉でしっかりと守る。


「なるほど、そうきたかー」


 奈由香さんは考え出す。しかし、その時間を与えるほど俺は甘くない。


「行くぞ」


 このキャラには昨日は見せていなかった必殺技がある。奈由香さんは調べてるだろうからもう知っているかもしれないが、それでも使える技は使ったほうがいいのだ。


「波動弾」


 俺は叫ぶ。そしてキャラから白い球が出て、奈由香さんのキャラに当たる。


「そういえば、そういう技もあったわね」


 さすがと言ったところか、奈由香さんはちゃんと調べていたようだ。


「だけど、大丈夫。私にはその技も調べてるし」

「知っているのと、理解しているのとは違うからね」

「なんか雄太君、その言い方中二病感がある」

「え、だめだった?」


 さっき奈由香さんも厨二病感のある喋り方してたのに。


「いや、全然いいことだと思うよ。ゲームなんてそんなこと言って楽しむものだと思うし、私楽しいよ」

「ならどんどん言わせてもらいますよ」


 数秒の間が出来た。俺も奈由香さんも攻めるタイミングを図っている。


「さて、また攻めさせていただきますか」

「奈由香さん、攻めますか?」

「そうだね。攻めさせてもらいます!」


 そして相変わらず後ろを攻めてくる。


「また同じ手は喰らわないよ」


 俺は相変わらず、背中を雷弾で守る。


「ならこれで!」


 ため技。なるほど、その技か。たしかにこのキャラは攻撃力は強くないし、雷弾に攻撃を弾く効果は無い。そう考えたら、ため技で一方的に攻撃することも可能だ。


「でもそれが上手くいくとは限らないよ!」


 俺は雷弾を奈由香さんのキャラに当てようとする。


「きかないよ!」


 奈由香さんは上手くキャラを操作して雷弾を避ける。


「でも雷弾の速さにキャラは追いつかないよね!」


 そして雷弾がぶつける。しかし、その前にチャージが完了していた。


「行け!」


 奈由香さんは叫び、極大なビームが俺のキャラを貫き、俺のキャラは大ダメージを負った。


「やるなあ、奈由香さん」

「ええ、調べましたもの。覚悟してもらいますね」


 そして奈由香さんは立ち上がった俺のキャラに思い切りパンチを喰らわす。


 その衝撃で舞台から落ちてしまった。完全に画面外に出てしまったら負けてしまう。


「まだ負けてませんよ」


 俺は雷弾を自分のキャラに当て、復帰した。


「なるほど、そう来たか。でももう体力ないよね」

「そうですね。だからもう攻めさせてもらいますよ」


 そして距離を縮め、ハンマーを取り出す。このハンマーは当てるのが難しい代わりにダメージがでかいのだ。


「昨日のやつね。わかった」


 奈由香さんは頷き、すぐに俺のキャラに接近してきた。


 しばらく見つめ合いが続く。俺も奈由香さんも思うようには攻められないのだ。


「行くよ!」


 そして奈由香さんは波動を貯め始める。


「させるか!」


 そして俺はチャージを妨害しようと雷弾を再び動かす。


 そしたら奈由香さんのキャラは俺に接近する。


「しまった、罠か」

「そうだよ!」


 そして奈由香さんのキャラは俺のキャラにパンチを喰らわし、俺のキャラは画面外に吹き飛んでしまった。


「いやあ、負けてしまいましたね」

「うん、リベンジ完了!」


 奈由香さんは喜びを顔で表す。


「そういえば話したいことがあるんだけど」


 急になんだ? 


「明日暇?」


 明日は土曜だ。まさかデートのお誘いか? もしそうだったら嬉しすぎる。


「明日私友達とカラオケ行くんだけど、一緒に行かない?」


 デートのお誘いではなかった。でも奈由香さんとお出かけできるのか。それならいいか。 


「いき……」


 ただ、一つ問題がある。奈由香さんの友達と一緒だということだ。ぼっちの俺に耐えられるのかな……。


「……どうしたの?」

「いや……行きたいですけど、少し不安で……」

「大丈夫、わたしの友達優しいし、雄太くんをぼっちになんてさせないよ」

「ありがとう」


 そして奈由香さんと奈由香さんの友達とお出かけすることが決まった。

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