愛され令嬢は精霊の愛し子〜冷酷王子にも一途に溺愛されてます
kiki
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カルドラ王国は大陸の東、海に面した自然豊かな国だ。
南北に長い国は南は温暖な気候、北は避暑地として人気である。
温暖な気候を生かした作物の栽培や避暑地としての観光業、漁業など豊かな資源を多く輸出し、産業、貿易共に大陸で上位に入る経済大国だ。
カルドラ王国の南に位置する、砂漠の国イグナーダ国に、豊かな領地目当てで何度も侵略戦争をけしかけられている。
しかし四部隊で構成される、王立騎士団の圧倒的戦力でこれまで戦勝してきた。
16歳のティナーリアは、国内三大公爵家のうちの筆頭、クロスター公爵家の末娘である。
ティナーリアが10歳の時に病気で亡くなった母に似て、16歳にしては幼い見た目ながらも整った顔立ちの可愛らしい少女に成長した。
この国には珍しい母譲りのアメジストよりも澄んだ紫の瞳は、クロスター公爵家の三兄妹だけだ。父ドーラン譲りの腰まで伸びた銀髪は、煌めく透き通るように綺麗である。
母イリーナは東の海に浮かぶハインツ王国の王女だった。ドーランが社会勉強と称して訪れた際に一目惚れをして、猛アタックの末結ばれた。王侯貴族では珍しい恋愛結婚だ。
ハインツ王国は世界で唯一、精霊のいる精霊に守られた小国だ。穏やかな気候と豊かな実りで、精霊に好かれる心穏やかな人達が暮らしている。精霊の報復を恐れて侵略を狙う国は無く、平和な国の為、他国の王族や高位貴族達の留学先となる事も少なくない。
そんな精霊の国の王女として生まれた母は、水の精霊ウンディーネの加護を得ていた。
精霊の加護を持った王女が産んだ子供達に、興味を持ったハインツ王国の精霊達が、初めてハインツ王国から外に出てカルドラ王国へやってきたのだ。その為、ハインツ王国以外でクロスター家は唯一、精霊の加護を得ている家となる。クロスター家の21歳の長男、ルーカスは火の精霊サラマンダーの加護を得て、19歳の次男アレックスは、風の精霊シルフの加護を得ている。
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