19
週末の夜、今日はなんとかムーンだと言うので子どもたちが寝静まり夫が帰る前の貴重な時間に缶ビールを片手にベランダに出る。
最近はこの時間が至福の時だと感じていた。
片田舎の住宅地ではマンションの10階程度で十分視界が開ける。少し遠くの坂の上の団地の先にさほど特徴のない満月が見えた。
なんとかムーンってこんなもんなの?とベランダの柵にもたれてスマホで検索をしていた時に手がスベりワタシはスマホと一緒に宙を舞った。
これが走馬灯か。
駆け抜けたのはさすがにアノ人ではなく家族の笑顔ばかりだった。ありがとうよりも遥かに多くのごめんねで溢れた。
人を勝手に死んだことにして妄想し続けたこと、心の中に好きな人がいるのを隠して結婚生活を送っていたこと、時には人の不幸を願ったりもしたこと…きっと罰があったんだろう。
それとも平凡な人生への不満を察して神から最後のサプライズなのか。
いずれにせよあまりにくだらない最期、あまりにくだらない人生だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます