聖夜にフラれた俺、金髪美少女を拾う。~拾った彼女の婚約者になったらイチャイチャが止まらない

YMS.bot

第1話 イチャイチャライフ

 ピピピピッ!!

 けたたましいアラームの音が鳴り、俺は重い瞼を開ける。

 

 ピピピピッ!!


「うぅ~ん……」


 隣から目覚まし時計の音が煩わしいのか、可愛らしい唸り声が聞こえてくる。

 俺は手探りで探し、目覚ましを止め、時間を確認する。


「あぁ~……6時か……。クレアぁ~……起きろぉ~」


 隣から感じるマシュマロのような柔らかな感触と湯たんぽのような優しい温もりの主に声を掛ける。

 うっすらと外からも朝日が降り注ぎ、それが隣に居る女性の金色の髪を更に輝かせる。

 俺は掛け布団を剥がし、身体を起こす。


「いやぁ~……ハルトぉ……」


 うにゅうにゅと身を小さくして抵抗するクレア。

 俺はクレアの顔を確認する為に身体を動かす。

 クレアは未だ起きたくないのか、憮然とした表情でうっすらと目を開けていた。


 何だ、起きてるじゃん。


 俺はクレアのぷにぷにほっぺを押し、口を開く。


「ほら、起きて。クレア。昨日の夜、一緒に朝ごはん作るって約束したでしょ?」

「ハルトぉ……うぅ~ん……ん」


 ゆったりとした動作で身体を起こしてから、ぽうっとした表情のまま両手を広げる。

 そんな可愛らしい姿に思わず苦笑してしまう。

 俺はクレアの正面に腰を落ち着かせ、優しく抱き締める。


「はいはい。おはようのハグね」

「んぅ~……ハルトの匂い……くんくん……」

「あんまり匂い嗅ぐな。そういう事すると、俺がクレアの匂いを嗅ぐぞ?」

「良いよ。いっぱい嗅いでも」

「じゃあ、遠慮なく……」


 すんすん。

 女の子特有の甘い香りが鼻腔を擽り、なんともいえない心地良さが胸いっぱいに広がる。

 本当に惚れた弱みと言うべきか、いつまでも嗅いでいたいが、そういう訳にもいかない。

 俺はサラサラとしたクレアの髪を撫でながら、口を開く。


「どう? 目は覚めましたか?」

「うん、だいぶ覚めてきたけど、まだ足りない」

「何が足りない?」


 ハグをしていた体勢から身体を離すと、クレアが目を閉じ、ほんの少しだけ唇を出す。

 いつもの奴ね。

 俺はクレアの頬に手を添える。すると、クレアはうっすらと目を開け、期待に満ちた眼差しを向ける。

 俺はゆっくりと顔を寄せ、クレアのしっとりとしていて、柔らかな唇に自分の唇を押し付ける。


 決して深くは無い優しい口付け。

 

 そして、毎朝、決して欠かさずにやっている俺たちのおはようのチュー。


 俺がゆっくりと顔を離すと、クレアはゆっくりと目を開ける。

 透き通る程に綺麗なサファイア色の瞳が露になり、すぐさま俺に抱きついて来る。


「えへへ、おはよう、ハルト」

「おはよう、クレア。よし、それじゃあ、顔洗ったり、歯磨きしたりしようか」

「うん!!」


 クレアは俺から離れ、すぐに手を繋ぐ。

 俺と色違いのパジャマに身を包んでいるが、その凹凸のはっきりとした身体付きが俺の視界に入り込んでくる。

 しかも、起き抜けのせいか、若干乱れていて、胸は谷間が見えている。

 クレアは肌も白く、とても綺麗だ。思わず見蕩れていると、クレアはパジャマの第一、第二ボタンを外す。

 少しばかりパジャマで締め付けられていた豊満な胸が解放された衝撃で、ふよん、と揺れる。

 それは俺の視線を奪うには充分すぎるほどの破壊力だ。



「ふふ、ハルト、見たいの? いっつも見てるのに?」

「見たいです」

「正直なハルトも好きだけど、今はダメ」


 クレアは俺の前に立ち、唇に人差し指を当てる。

 それからパチン、と星が飛ぶかのようなウインクをした。


「今は朝ごはんをハルトと作りたいから。今日の夜までお預けね」

「そりゃ、困ったな。それだけでも今日一日頑張れるよ」


 そんな他愛のない会話をしながら洗面所へと向かい、二人並んで身支度をする。

 俺とクレア、二人揃って同じ学生服に身を包み、クレアと共にキッチンに立つ。


 それから俺たちは役割分担をしながら朝食を作っていく。


 俺たちは二人で暮らしている。

 部屋も普通の1K。まぁ、高校生が借りる限界とも言える。

 いつも通り、俺が手馴れた様子で調理を進めていると、隣にいるクレアが頬を膨らませる。


「むぅ……なかなかハルトに追いつけないわ」

「そりゃ、俺はもう一人暮らし歴9ヶ月だからな。料理もした事ない、執事さんやメイドさんにやらせてたクレアに負けたら立つ瀬が無いよ」

「私は将来、ハルトのお嫁さんなのに」


 さも当たり前のように言うクレアの頭を優しく撫でると、クレアは嬉しそうに目を細める。


「そうだな。でも、協力して行こうって約束しただろ? だから、そんなに気にするな」

「うん。分かった」

「良し。じゃあ、今日も卵焼きは宜しくな」

「任せて!!」


 自信満々、意気揚々と卵を割り、それを溶いて、熱したフライパンに流し込む。

 かなり手馴れた様子で卵焼きを作るクレア。

 俺はそれを横から見つめる。

 まずは簡単なことからやらせているけれど、本当に日々成長している。

 

「ほっ、はっ、せいっ!!」


 そんな掛け声と一緒にクレアが卵焼きをクルクルと器用に巻いて行く。

 一本の卵焼きが完成し、一仕事終えたといわんばかりに額を腕で拭うクレア。


「ふぅ、終わったわ!!」

「はい。お疲れ様。もう卵焼きは完全マスターしたな。じゃあ、ご褒美~」

「えへへへへへ」


 そう言いながら、俺が頭を何度も撫で回すと、だらしなく頬を緩ませるクレア。

 それから俺の作った朝食たちとクレアが作った卵焼きをリビングへと配膳する。


 俺とクレアが向かい合い、手を合わせる。


『いただきます』


 クレアは使い慣れた箸を器用に使って朝食を食べ進めていく。

 食べる度に美味しい、と笑顔を浮かべる彼女はさながら、女神のようだ。

 俺はクレアが作ってくれた卵焼きを食べる為に箸を伸ばすと、クレアが笑顔のまま言う。


「待って、ハルト。私が食べさせてあげる。はい、あーん」

「あーん」


 手頃に切り分けた卵焼きをクレアは自分の箸で掴み、俺に向けてくる。

 俺は当たり前のように口を開けると、クレアが優しく卵焼きを差し出す。

 

 もぐもぐ。


 卵本来の味と塩気の入り混じった味が口内に広がり、俺は小さく頷く。


「うん、美味しい。ちゃんと作れてるよ」

「良かった。ふふ、これでハルトのお嫁さんにまた近付いた」

「これからも一緒に頑張ろうな」

「うん!!」


 満面の笑顔を浮かべるクレアを見てから、俺は箸を進める。

 前までは一人で食べるのが当たり前だった。でも、そう。全部変わったんだ。


 今、目の前に居るクレアと出会って。


 俺はふと入口近くにある棚を見た。そこには二つのカバンが寄り添うように置かれている。

 そして、二つのカバンには互いに組み合わせる事が出来そうなキーホルダーが付けられている。

 

 それを見てから俺は食事を進めていき、二人揃って食べ終わる。

 それから二人並んで、他愛の無い話でもしながら、皿を洗い、玄関に立つ。


 ちょうど良い時間だ。


 クレアは玄関近くに置いてあった黒のマフラーと黒の手袋を付ける。


「ふふ、あったかい……」

「それ、まだ使うのか?」

「当たり前だよ!! だって、これはハルトが最初にくれたプレゼントなんだから」

「プレゼントっていうか、渡しただけじゃん」

「でも、これが私とハルトの始まりだもん。ずっとずっと大事にするよ。私はハルトと出会えて本当に嬉しかったんだから」


 それから俺はクレアの使っているモノと全く同じものを着ける。

 すると、クレアは玄関先で俺に手を差し伸べる。


「ほら、ハルト!! 学校、行こう!!」

「……ああ。行こうか」


 今はこんなにも幸せな日常を送っているが、こんな日常を送るようになったのは数日前だ。


 そう、今でも鮮明に思い出せる。


 あれは、雪が降ったクリスマスの日。


 その日、俺は彼女――名家の令嬢 クレア・ド・クラーラと出会ったんだ――。


――――――――――――


 この作品のテーマは『糖度100%イチャイチャ作品』です。

 イチャイチャしてばっかりの作品です。


 つまり、第一話が本編であり、後はおまけみたいなものです、はい。

 でも、イチャつくけどね。甘々だけどね。


 良かったら、☆とかくれたら嬉しいです。

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