聖バスティアーナ学園の非日常 ~ 執事の少女はメイドとともに神を救う

東束 末木

第0話

「アクアルナ、次を最後としよう」

ノアに右拳を突き出しながらそう宣言するアカリ。

「分かったよ、アカリちゃん」

そしてノアもそれを受けて立つ。

二人ともここまでの攻防による消耗とダメージが大きく、次での決着を覚悟したのだ。


そして二人はゆっくりと歩き出す。




「ルアアアアアアっ」

「とぃやああああっ」


試合場の中央で激しく拳を突き出し蹴りを放つノアとアカリ。

双方譲らぬ互角の攻防は果てる事無く続く。

いつしか観客は声を上げる事も忘れ二人に魅入り、会場はぶつかり合う二人の打撃音だけが響き続けた。


(もっと速く、もっと強く!)

我に相手を上回るスピードとパワーを!

アカリの回転が徐々に増し、ノアを上回り始める。


だがそれと同時にノアにもある変化が訪れた。

(もっと硬く、もっと遠くまで!)

アカリちゃんまで届けーーーっ!


ノアの拳に纏っていた【障壁】が、打撃後の延びきった拳から前方に延び始めたのだ。

その現象は拳を重ねる毎に顕著となり、やがて拳から離れアカリを襲うようになった。


「なっ!?」

拳に纏った【障壁】がその拳を発射台として飛び出し、その勢いそのままにアカリに襲いかかる。

その勢いにアカリの身体は後方に押されてゆき、そうなれば当然アカリの拳はノアに届かない。

止むなく出した水の盾でもその勢いは殺し切れず、立て続けの着弾に削られ抉られ穿たれる。


そしてノアの回転は更に上がり、防御するアカリは増える着弾に身を固めるもその身体は徐々に後方へと押し下げられ、そしてついに――

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