第57話 クリスティー先生
翌日早速、魔法の先生をしてくれるエルフさんと顔合わせだ。
「ちゃんと自己紹介をしたことはありませんでしたね。魔法を教えておりますクリスティアン・アルトゥルトゥルでっす。ココ様」
ニコッとしながら俺の頭を撫でる。そして、何故か俺はエルフさんの膝の上に座らされている。どうしてだ?
このエルフさんが、兄達に魔法を教えていた先生だ。邸でよく見た事がある。会うといつも微笑んでくれる。
「奥様に何年も前から、ココ様をご指導させて下さいと何度もお願いしていたのです。やっとご指導できる事を、大変嬉しく思いまっす!」
おや? そうなのか? 母は何故に引き延ばしていたんだ? やはり8歳か?
「よろしくお願いします!」
「はいッ、元気ですね~」
「クリスティー先生、ご紹介します」
「はい、こちらの坊っちゃまもですか?」
「フィルドラクスと言います。よろしくお願いします」
「はい、お利口さんですね。フィルドラクスくんは長いので、そうですね……フィル君と呼ぶ事にしましょう」
うん、マイペースな先生だな。淡い透けるようなブロンドの髪に、すっきりと晴れた空の様なスカイブルーの瞳のエルフさん。
お兄さんなのか? お姉さんなのか? 中世的でどっちなんだ? と、思っていたらちゃんとお兄さんだった。イケメンさんだ。
だが、さすがエルフだ。こっそり鑑定眼で見ようとしたら跳ね返されちゃったよ。名前しか見られなかった。俺よりずっと魔力量も多く、スキルレベルも高いと言う事だ。
もしかして、鑑定眼も持っているのかも知れない。
「フィル君は綺麗な宝石のようなミッドナイトブルーサファイアの瞳ですね~。綺麗ですね~」
「あ、有難うございます」
「はいッ」
そして、またニコッとして俺の髪を撫でる。どうしてだ? この流れだと王子だよな? 何故に王子の髪を撫でない? どうして俺なんだ?
「ココ様、それはココ様だからでっす」
意味不明。まあいいや。
「ココ様のブルーブロンドの髪、とっても綺麗で手触りが良いのですよ。アメジスト色の瞳もとっても綺麗でっす。うっとりしますね~」
そうかよ。俺はなんとも思わないけどな。
「クリスティー先生、2人共魔力操作からお願いできますか? 付与魔法や魔導具に関しても詳しく知りたいのです」
「おや、付与魔法に魔導具ですか? 付与魔法ならバルト様がお得意でしょう」
なんだって? 今はいないけど、身近な名前が上がったな。バルト兄は魔法より剣じゃないのか?
「兄上が? そうでしたか?」
「はい。ああ、でもバルト様は剣等の武器に付与する事ばかりに夢中でしたから意識はされていないかもでっす」
そう、言ってまたニッコリ。そしてまた俺の髪を撫でる。
俺の髪はそんなに触り心地が良いのか?
「ココ様、極上ですよ。サラッサラでっす」
そりゃ、どうもありがとう。お願いだから、耳元で囁かないでほしい。イケメンは声までイケボなのか?
「付与魔法や魔導具に関してはロディ様も参加されますか?」
「はい、僕も教えて頂こうと思っております」
「それはそれは。教え甲斐がありますね~。では、早速ですが……」
「クリスティー先生、今日は顔合わせだけと思ってましたので」
「あら、それは残念でっす」
「兄や私の時の様に時間を決めましょう」
「分かりました。私は毎日でも宜しいですよ。ロディ様にお任せします。それよりも……ココ様」
「はい、先生」
「ああ、私の事はクリスティー先生と」
「はい、クリスティー先生」
「はい、フィル君も」
「はい、クリスティー先生」
「お2人共、お利口さんでっす」
「クリスティー先生、ココがどうかしましたか?」
「ああ、そうでした」
本当、マイペースな人だなぁ。イケメンエルフの先生。こう見えて数百歳らしい。スゲーよな。何百年も生きるなんて、想像がつかないよ。
「ココ様、その加護は何ですか? いつの間にでしょう? ああ、フィル君もですね」
お、分かるのか? やっぱ鑑定眼か何かを持っているよな。
「せん……」
「クリスティー先生でっす」
途中から言い直されてしまったよ。そんなに拘る事でもないと俺は思うよ。
「クリスティー先生、どうして分かるのですか?」
「良い質問ですね~。ココ様は鑑定眼をお持ちですね」
「はい、私は鑑定眼のレベルがマックスだと思っていました」
「でも、私のスキルを見る事ができませんね?」
「はい、どうしてですか?」
「それはですね……」
クリスティー先生が言うには……
スキルにレベルがあるように、その人自身の力量や経験値でのレベルもあるのだそうだ。まるで、ゲームだ。俺はしたことないけどさ。
先生は数百年生きている。それに、魔物討伐にも参加していたりする。だから、元々のレベル自体が高いのだそうだ。
それに比べて、俺は『鑑定眼』のスキルレベルがMAXだったとしても俺自身のレベルがまだ低い。だから、クリスティー先生を鑑定眼で見る事ができなかったのだそうだ。
俺自身のレベルが上がれば、鑑定眼でももっと詳しく見ることができるらしい。
早速、勉強になったよ。クリスティー先生。
「で、その加護はどうしたのですか? ココ様はお持ちじゃなかったですよね?」
ずずいっと目を見つめて迫ってこられた。超イケメンのドアップはちょっと迫力あるぜ。
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